144:1 ◆sfGsB21laoBG[sage]
2016/08/09(火) 20:09:17.13 ID:kqsr3JY+0
太陽が沈む…。
王都より西に位置する砦の城壁に立っていたエヴァンはそう思った。
首相派のエヴァンは権謀に長けている。だから首相のインカは彼をこの砦に派遣させたのだった。
そう、目の前の男を懐柔するために…。
その男は砦の城壁に立ち下を眺めていた。何かを待っている様に。
彼はカーキ色に黒い渦の様な模様を付けたプロテクターを身に付けている。
その顔貌はスキンヘッドで顔には眉毛も髭も無い。ただ爛々と光る瞳に長い睫毛だけが印象的だった。
薄い唇にはウツボを象った小さなピアスを付けており、その唇を少し歪ませ一見するとニヤついている表情に見える。
「…こちら側としては急いでいるのだが…?」
エヴァンがそう告げると彼はそれに答えずにただ城壁の下を眺めている。
「モーレイ…何度も言っている…」
「もう、終わる」
エヴァンの言葉にモーレイは短くそう告げた。
「だから、そう慌てなさんな…大臣閣下」
モーレイは少しエヴァンを見ながらニヤついた表情を浮かべている。
204Res/130.28 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。