過去ログ - ――――きっと、あの出会いは運命だった【モバマス】
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29: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2016/08/10(水) 01:36:08.80 ID:itJi5WEx0

それから、目的地に着くまでの間は終始無言だった。

何というか、二人とも口下手なとこが親子だなぁって感じ。

着いてからも「行ってらっしゃい」と「行ってきます」を交わしただけで、
お父さんは走り去ってしまった。

凛ちゃんはボクと紙袋を持って正面の建物へすたすた入っていく。

入口のところにいた警備のおじさんにぺこり、と頭を下げたくらいで
入館手続きみたいなものはなく、ずんずん敷地内を進む。

そうしてエレベーターを使って何階か上がり、アイドル課と表札が出ている部屋の扉を開けた。

「お疲れ様です。失礼します」

凛ちゃんがそう挨拶すると、気付いた社員の何人かが凛ちゃんに軽く会釈をしてまたデスクに向き直る。

そんなとき、蛍光緑の個性的なスーツに身を包んだ女性がこちらにぱたぱたと向かってきた。

「凛ちゃん、ですよね。おはようございます。どうかしましたか?」

「あ、えっと…これをプロデューサーに…」

「ああ、新しい備品ってマイクスタンドなんですね。話は伺ってます」

「はい。それで、これどこに持っていけばいいですか?」

「今、凛ちゃんのプロデューサーさん丁度お昼に行っちゃってて
確認取れないので、私でよければ預かっておきましょうか?」

「じゃあ、お願いします」

凛ちゃんの手から蛍光緑へとボクは手渡された。
これでしばらくは凛ちゃんとお別れになるのだろう。

「はーい。責任を持ってお預かりします。
それと、凛ちゃんはこれからレッスンよね?」

「ちょっと早く来過ぎちゃって、まだ時間あるんですけど…」

「それなら、トレーナーさんもういるかもしれないから連絡してみますね」

そう言って蛍光緑は胸ポケットから二つ折りの携帯電話を出すと、どこかへ電話をかける。

数コールの後に、電話は繋がった。

『お疲れ様です。千川です。今日、レッスン予定の渋谷さんなんですが…』

『はい。はい。ええ、本当ですか? はい。本人に伝えておきます』

『はい。ありがとうございます。失礼します』

一方の声しか聞こえないため、会話の内容は不明だが蛍光緑は千川というらしい。

「第二レッスンスタジオの予約、今日は凛ちゃん以外入ってないみたいです。
トレーナーさんも既にお昼済ませたみたいなので、いつでも来ていいそうですよ」

千川は電話をぱたん、と閉じてそれを仕舞うとにっこり笑ってそう言った。

「わざわざありがとうございます。では…」

「どういたしまして、じゃあレッスン頑張ってくださいね」

これで、凛ちゃんとはしばらくお別れ。

蛍光緑の千川はボクを倉庫のようなところに連れて行き、
ガムテープの上にマジックで[渋谷凛]と書かれているロッカーにしまった。



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