1:名無しNIPPER
2016/08/11(木) 16:25:35.75 ID:FU4uAl220
今日は花火大会……なんですが、人混みの中を出歩くのは危険とのことで……
事務所の中で静かにしていることになっています。
ヘリコプターからの中継があるからといってそれで満足できるかと
訊かれれば実はNOなのですが……私がアイドルとして売れてきてしまったので
仕方がない事ではあります。
仕方がないと言っては失礼ですね、頑張ってもらっているプロデューサーに。
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2:名無しNIPPER
2016/08/11(木) 16:26:22.69 ID:FU4uAl220
事務所の大きなテレビで映っているのは実に美しい花火です。
ここからじゃ辛うじて音だけが聞こえるという状況ですので一緒に見ているフレデリカさんも喜んでいるようです。
3:名無しNIPPER
2016/08/11(木) 16:27:23.30 ID:FU4uAl220
私のプロデューサーが買ってきてくれた屋台のお好み焼きや、たこ焼き、綿あめ。
お祭りに行けない私たちを気遣ってくれているのが良く解って嬉しくなります。
でも、こうしてもらえると実に私が天邪鬼なのでしょうか、お祭りに対する憧憬がより一層強くなってしまう気がします。
4:名無しNIPPER
2016/08/11(木) 16:28:36.31 ID:FU4uAl220
「いやー楓さん、このたこ焼き美味しいよ? 私が作るより美味しいかも、作ったことないけど」
私が何も手を付けていないことを見咎めたのかもしれません、フレデリカさんが声を掛けてくれます。
あまり話したことがない私と、よりによって二人きりというのは彼女にとって負担だといけないなと思いましたが、
5:名無しNIPPER
2016/08/11(木) 16:29:37.63 ID:FU4uAl220
「たこ焼きもいいですね、私も好きなんですよ、たまに大きなタコが入っていると嬉しくなりますね」
「ですよねー、逆に入っていないのに当たっちゃうと残念! みたいな」
「そうですね、入ってないのに当たりっていうのもおかしいですね、フフフ」
6:名無しNIPPER
2016/08/11(木) 16:30:48.73 ID:FU4uAl220
「……っそうかもね、フレデリカさん」
他のアイドルのみんな用に沢山買ってきてもらっている(おそらく経費?)けれど、今日は余り人がいない。
だからまぁ、必然的に私たちがまあまあ食べてもよいということになっているのですが、
7:名無しNIPPER
2016/08/11(木) 16:31:55.31 ID:FU4uAl220
「鰹節って薄いのに魚の味がしますね、元が魚だからかな?」
「さ……かな?」
「そうかな? っていいたいんですか、ちょっと無理ですかねー☆」
8:名無しNIPPER
2016/08/11(木) 16:32:54.64 ID:FU4uAl220
「アタシ、お祭りでしかたこ焼き食べないんですよねー」
「私もそんな感じですね、そもそもそんなに食べる機会ないですからね」
まだ温かいたこ焼きを彼女に差し出されて漸く私も口に入れ始めた。
9:名無しNIPPER
2016/08/11(木) 16:33:56.32 ID:FU4uAl220
「たこ焼きに詳しい人いましたよね346に、まぁ、名前知らないんですけど」
「えっ……どうでしたかね……、そういえば関西出身の方がいらっしゃったと思いますから、その方なら知ってるかも」
「なるほどー! アタシ、大阪人の9割の家にはたこ焼き器があるって聞きました」
10:名無しNIPPER
2016/08/11(木) 16:34:54.94 ID:FU4uAl220
「大阪の人のたこ焼きに関する情熱は半端ないって聞きますね」
「そうなんですか?」
私の出身は和歌山で、まあ、どちらかというと関西に近いですが、大阪の習慣にはなにぶん疎いもので……。
11:名無しNIPPER
2016/08/11(木) 16:36:16.05 ID:FU4uAl220
「マジらしいですよ、アタシはしませんけど」
「そりゃ、フレデリカさんは大阪の人じゃないですしねぇ」
「そうです☆ でもお好み焼きとご飯は美味しいですね」
12:名無しNIPPER
2016/08/11(木) 16:37:03.18 ID:FU4uAl220
たこ焼きは粗方食べ終えて、今度出てくるのは……(フレデリカさんが主に興味の惹かれるものをチョイスしているようです)あれです、
イカ焼きです。串に刺さったあのイカ焼きです。
「タコの後はやっぱりイカって気がして」
13:名無しNIPPER
2016/08/11(木) 16:37:41.65 ID:FU4uAl220
「どうも薄皮が噛みきれないですよね」
「そうねぇ……串に刺さっているから余計に」
私とフレデリカさんは少し女性がするには恥ずかしい表情をしながら丹念にイカを、串に刺さったイカさんを食べていきます。
14:名無しNIPPER
2016/08/11(木) 16:38:32.79 ID:FU4uAl220
「……」
「……」
ええ、不覚でした、イカの頭の三角になっている所だけをひとまず口に入れればよかったんですけど、
15:名無しNIPPER
2016/08/11(木) 16:39:31.16 ID:FU4uAl220
今更目を逸らすのもなぁ……というのがどうやらお互いの共通認識だったらしく、
なぜか一口がひと段落するまでずっと私はフレデリカさんのヒスイ色の瞳を見続けることになってしまいました。
彼女も私の眼をずっと見ているので、どうもくすぐったいような気がします。
16:名無しNIPPER
2016/08/11(木) 16:40:34.49 ID:FU4uAl220
「やっぱりビールが欲しいですか、楓さんは」
「ええ、でも私はどちらかというと日本酒の方が好みですね」
この濃い醤油味のイカにはどちらが合うでしょうか? うーん、ビールも合うかもしれません。
苦味と醤油の塩辛さで引き立てられたイカの身の甘さが丁度よいかも。
17:名無しNIPPER
2016/08/11(木) 16:41:20.03 ID:FU4uAl220
「うーん、プロデューサーはお酒買ってきてくれませんでしたからねー」
「……そうなのよねぇ」
勿論屋台としては出ているのでしょうけど、未成年の子ばかりがいるので買ってきてはくれなかったのです。
18:名無しNIPPER
2016/08/11(木) 16:42:27.92 ID:FU4uAl220
「これ失敗すると、面倒なんだよねー、だからやってくださいっ!」
「えっ私のじゃないんですか」
「いやいや、こっちにもありますから、そうだっ、アタシが楓さんの分開けますから」
19:名無しNIPPER
2016/08/11(木) 16:43:33.12 ID:FU4uAl220
「ラムネって何味なんですかねー? うーんラムネ味?」
「そういえば知らないかしら、きっとお菓子のラムネは後に出来たかもしれないですね」
「あー、ガリガリってするラムネですねー、あれ別にラムネっぽくないですよね」
20:名無しNIPPER
2016/08/11(木) 16:44:12.51 ID:FU4uAl220
キュピキュピと喉を鳴らしてラムネを飲み干す。
「あ、でも、ラムネは透明でしたね」
付け足すように言う彼女は真面目なのかしら?
もうそろそろ中継でも花火が終わりに近づいてきていると言っているわ。
21:名無しNIPPER
2016/08/11(木) 16:45:52.98 ID:FU4uAl220
「花火って終わりの頃に凄く打ちあがりますよね」
フレデリカさんが私の隣に移ってきた。
「こう、一瞬静かになって、その後からヒューッって上がるんですけど、焦らしてくる。そして一気に何連発も来るんですよねー」
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