過去ログ - 「喧々囂々、全てを呑み込むこの街で」
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36: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2016/08/14(日) 17:22:07.13 ID:1MPDMi340
「ああっ……また負けた!!」

「ひっひっひ……さぁ〜て、次はこの酒を買ってもらおうかのぉ〜?」

「チッ……次だ、次は勝つぞ!」

男は酒を注文し、老人に渡します。

にたにたと笑いながら飲む老人を見て、やっぱりこの爺さんには敵わねえな、とため息をつきました。

これが日常。強いて違う点を挙げるなら、目の前の老人が若返っている事くらいでしょうか。

「そういや、何で若返ってんだよ?」

「ワシは百年に一度、繭になって転生するんじゃ……前の身体は古臭くてのぉ」

「……って事は、別に目玉を移植しなくても平気だったんじゃねえか!!」

「ひっひっひ……何の話だったかの?」

「ふざけんな! 金返せコラ!」

男は老人にウィルオウィスプを放ちますが、老人にはそよ風が通ったようなものです。何処かで見たような光景ですねえ。

「店の中で暴れるとは……その頭にはマナーのマの字も入っておらんのか?」

老人はクチャクチャと音を立ててつまみを食べながら、新しい酒を飲み干します。そのまま盛大なゲップをしました。

「うるせえ! まともに飯も食えねえ奴に言われたかねぇよ!」

「ひひっ!」

(しかし……「霧の怪物」は神出鬼没って聞いたが)

(明らかに動きは鈍いし、地面を掘って移動するって訳でもなさそうだ)

(考えられるのは……召喚? もしくは封印して持ち運んでいる? それに、あのガキ共は……?)

何にせよ――裏で手を引いている奴がいる。男は神妙な顔つきになりました。

男が真剣に考え事をしている間、老人は(勝手に)新しい酒を注文しています。

「……ん? あっおいコラ! 何勝手に注文してんだ!」

「ひっひっひ……酒は飲―んでも呑まれるなー♪」

「おいジジイ!! 俺は払わねえぞ!」

「いやいや、全然構わんぞ〜? 二度も命を救ってくれた恩人に、酒を買ってあげたいと思うなら話は別じゃがなぁ〜?」

「……ああ畜生!! 好きなだけ飲みやがれ!!」

「イェ〜イ……ひっひっひ!!」

机を叩く男を笑いながら、老人は上機嫌で酒を飲み干しました。

今宵の酒場も、騒がしくなりそうです。


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