過去ログ - 子供「ツブアンおじさーん!」 ツブアンおじさん「おう」
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7:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/16(火) 10:45:11.51 ID:VDibV/ZW0
ツブアンおじさん「野球選手はボールを投げてた。映画俳優は腰のホルスターからリボルバーを取り出した。アナウンサーはマイクを持ち、コメディアンは観客を指差し、ロックスターはギターを弾き、画家は絵を描いてた。だが、俺にはできねぇ。その中のどれひとっつもできやしなかった」

ツブアンおじさん「ムカついたさ。世の中にはどうにもならねえものがあるとその時悟った。神は残酷だ。いや……神などいやしなかった。俺の周りには、日ごと妄言を増していく老いた男と、月に一度そいつの上でせっせとケツを振って遺産を狙うバカな女だけだ」

子供「……………」

ツブアンおじさん「………坊主、火だ」

子供「えっ……ああ、うん」

ツブアンおじさん「………フゥー………いいぞ、俺の肺の中はまさに地獄だ。細胞の阿鼻叫喚が聞こえるよ」

ツブアンおじさん「さてと、気づきたくないことに気づいてしまったガキの話の続きだ。気づいたからといって、哀れなガキにはどうしようもできねぇことだ。テレビは見たくなかったが、それ以外に暇を潰す方法がねえ。仕方なく、見続けていたわけだ」

ツブアンおじさん「だがある日、そんな日々にも終わりがきた。どんなことにも、始まりがあれば、終わりがある」

子供「終わり?」

ツブアンおじさん「ある日の晩のことだ。俺は親父と女と一緒に、テーブルの上の小さなチキンステーキに噛み付いていた。塩だけ振ってある、しょぼくれたチキンステーキさ。テレビはある試合を映していた。ボクシングさ。今じゃすっかりと寂れちまったが、俺がガキの頃は盛り上がりを見せてきたところで、深夜放送からゴールデンタイムへと移りつつあった」




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