203:名無しNIPPER[saga]
2016/08/24(水) 12:38:17.34 ID:ifFcB1G70
日差しが強いかと思ったが、森から木が伸びていて、ほとんどが日陰になっていた。
廃車になっている軽トラが転がっている。
窓ガラスが割れていて、狭い運転席はツタで覆われている。
なんか癒される。
ふと後ろを振り返ると、ナナコがしゃがみこんで、何かしていた。
「……何してんの?」
「水道のところ、虫の死骸が溜まってまして……」
覚悟を決めてたところなんです、とナナコは息を飲み込んだ。
ゴミを取り除かないと、掃除の仕上げができないらしい。
そういえばナナコ、虫が苦手なんだっけ。
「ちょっと待ってろ」
颯爽と立ち去る俺。
しばらく経って、再び帰ってくる。
「待たせたな」
ねえちゃんを連れてきた。
「……え、なに?」
「虫とって」
ねえちゃんは微妙な顔をしたが、だいたいの状況は把握してくれたようで、ちりとりを使って虫を除けてくれた。
ナナコは微妙な顔をしていたが、「ありがとうございます」とは言ってくれた。
うん、虫は苦手だと本当に触るのキツイもんな。
わかります。
「何かできないことがあれば、他の人も頼れよ」
格好良さげを言ってみたのはいいが、横からねえちゃんに小突かれる。
「あんたのセリフじゃない」
ナナコは笑って、もう一度「ありがとうございます」と言った。
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