277:名無しNIPPER[saga]
2016/08/26(金) 22:42:29.54 ID:qsBzmbI/0
一秒ごとに聞こえるはずの針の音が、やけにゆっくりと聞こえる。テーブルには、特に会話はない。
時計に目をやる。一瞬止まって見える。クロノスタシス。
「……何か、あったの?」
ふと、イチに声をかけられて、顔をあげる。
「何かあった……うん、何かあった」
「そっか」
イチはポニーテールを撫でた。
「それは、言いにくいこと?」
「……うん、言いにくい」
いや、言いにくい、というわけではないな、と思い、訂正する。
「俺がいられた雰囲気を、一つなくしてしまったのかも、しれない」
「そっか」
「うん、……ごめん、変なこと言った」
「ううん」
コップの水滴が垂れる。
遠くから笑い声が聞こえてくる。
「私は、どこにもいかないよ」
「……そっか」
そう言って、会話は途切れた。
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