31:名無しNIPPER[saga]
2016/08/18(木) 08:13:27.08 ID:RhqsoqHZ0
窓が閉まっていることを確認して、教室の入り口で待つ二人の元へ急ぐ。
「なんで突然?」
「いや、昨日カップラーメン切れたし、なんか買わないと」
ねえちゃん(繰り返し言うが、姉ではない。彼女の名前だ)は歩き出しながら、そう言った。
ねえちゃんの母と俺の母は、それこそ姉妹のように仲がよかった。だから、多忙な乙坂母に変わって、俺の母が面倒をみることがよくあった。
今でもこうしてよく話す。
三人で並んで階段を降りる。下校のチャイムがなったが、別に急ぐことはなかった。生徒会の役員が二人もいることだし。
夕方になってからは、昼間ほどの暑さは感じなくなっていた。歩けば湿気も和らぐ。過ごしやすい季節だ。
「そういえば、サランラップ切れてたね」
「買っとかなきゃな」
「忘れないでね」
「ねえちゃんも」
「うん」
「……お二人は、付き合っていないんですよね?」
俺とねえちゃんの間を歩くコヨミちゃんが、伺うようにそう尋ねる。
「うん、それはない」
二人で即答したのがほぼ同じタイミングで、少し笑った。
「あれだよあれ、ウェスターマーク効果ってやつ」
「そ、そういうものですかね……?」
「そういうものなのだよ」
そういうものだ。ねえちゃんに対しては、一度もそういう感情を持ったことはない。
決して顔のつくりが飛び抜けて個性的、というわけではないんだけど(むしろ美人だし、胸だってないわけじゃない)。
こう言うと失礼なように聞こえるかもしれないが、ねえちゃんからも面と向かってそう言われたことがあるので、お互い様だ。
問題は括弧の中のことについては言われなかったことくらい。
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