過去ログ - 男「ここにいたんだ」
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65:名無しNIPPER
2016/08/19(金) 13:52:55.22 ID:F+nlZ94w0
 放課後。

「ふふふ、私が優勢ですよ」

「ど、どうかな……?」

 部室に行くと、ナナコとチヨがオセロをしていた。リバーシブル。

「何してんの……?」

「見て分かりませんか?」

「オセロ」

 それはわかる。
 どこからそんなもん持ってきた。

「家から持ってきました」

 と、ナナコは自慢げに胸を張った。

「でも、今日は生徒会から、コレきてるよ」

 そんなナナコに、昼休みに会長から受け取ったプリントをペラリと見せる。

 チヨは、久しぶりだね、と呟いて、またオセロ盤に黒を置く。
 ナナコは何度か腕時計を確認した後、
 あー、でも、部長くるまでもう少し時間かかりますし、と言って、またオセロ盤に視線を戻した。

 二人の邪魔にならないよう、静かに盤面を見ると、角を二ヶ所とっている白、つまりナナコがが圧倒的に有利に見えた。
 だがチヨは落ち着き払っている。
 オセロなんてどうでもいいと思っているのか、それとも何か秘策でもあるのか。

 自分の定位置にカバンを置いて、窓を開ける。イチのカバンはあるので、一度はここにきたようだった。

「イチは?」

「自販機に行ってくる、って、言ってたよ」

 清掃部は基本的に、こんな感じでぐだぐだと時間を過ごす。
 そもそも掃除が熱心にしたくて、この部活に入ったやつなんて、いるのだろうか。

 部員が少ないから、金曜日以外は出欠は自由だから、楽そうだから、諸々と理由はあるだろうが、結局、掃除大好き! なんてやつはいない(と思う)。

 俺だって、誰かに誘われなければ、ユウキのように帰宅部だったのだ。
 そう考えると、この部活大丈夫なのかな、という気にはなる。


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