過去ログ - 男「ここにいたんだ」
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80:名無しNIPPER
2016/08/19(金) 20:14:26.96 ID:F+nlZ94w0

 なんで突然探そうとしたの、と聞いたら、「夢のお告げがあった」と言われた。
 これもユウキの奇行のうちに入るだろう。

「二人はなんか予定ある?」

「部活」

「彼女つくる」

 夏休みは忙しそうだ。ユウキなんか特に。

「あとあれだ、カブトムシ捕まえたいよな」

 ユウキは多忙だ。

「わかる、毎年カブトムシカブトムシって思いながら夏が終わるんだよな」

 イケメン君も、同じようなことを考えていたようだった。

 というか俺も捕まえようとしたことはある。
 去年はバナナ買うところまではいったけど、山まで行くのが面倒くさくて、結局家の庭にバナナを吊るしたら、よくわからない虫がいっぱい集まっていた。

 気持ち悪かった。

 触れなかったので、ねえちゃんに片付けてもらった。

「もうその『夏が終わる』って響きだけでノスタルジックな気分になる」

「わかる」

 喫茶店の入り口に掛けられた風鈴が、チリン、と音を鳴らす。
 振り返ってみると、エアコンの風が当たっただけだった。

「カブトムシって最近いるのかな」

「最近見てない」

「夏じゃなかったからな」

「じゃあ空飛ぶスカイフィッシュで妥協するかあ」と、ユウキ。

 難易度が跳ね上がった気がする。

「空飛ぶスカイフィッシュ」

「逆に飛ばないスカイフィッシュとか見たことねえわ」

 飛ぶスカイフィッシュは見たことあるのか。

「まあ結局、ただのハエだったんだけどな」

「探したのかよ」

「うん、真壁兄弟三人でカメラ構えて探した」

 一度会ってみたいものだ。ユウキの兄弟。



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