過去ログ - 千川ちひろ「紫煙の奥から」
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3: ◆K5gei8GTyk[sage saga]
2016/08/22(月) 21:12:02.36 ID:Bte9AddR0
 その喫煙室の隣には、滅多に使われることのない小道具や衣装などをしまう備品室がある。

 あまり開かれることのない備品室の中には勿論のこと、部屋前の廊下は、入りきらなかった備品で溢れている。

 その備品の山を越えた先に、年季の入った扉がもう一つあって、ノブを引くと、換気扇の回る音がわたしを迎える。

 手に持っている黒色のポーチからキャスターを取り出して、電子ライターで火を点ける。

 一息に吸い込むと、甘ったるい香りが肺に取り込まれていく。

 そうして、えもいわれぬ香りの煙を堪能してから、惜しむように吐き出すと、そこで漸く人心地が付く。

 左の手首に嵌めた腕時計を一瞥すると、午後八時に迫ろうかという頃合いだった。


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