32: ◆K5gei8GTyk[sage saga]
2016/08/22(月) 22:15:41.62 ID:Bte9AddR0
すとん、と腑に落ちる感覚があった。
それからわたしは、アイドルが好きなんだなあ、と改めて思った。
今こうしてこの仕事に就いているのがその証左で。
33: ◆K5gei8GTyk[sage saga]
2016/08/22(月) 22:17:11.21 ID:Bte9AddR0
アンビエントミュージックは今日も粛々と流れ続ける。
34: ◆K5gei8GTyk[sage saga]
2016/08/22(月) 22:19:23.76 ID:Bte9AddR0
「もうすこしですね、志希ちゃんのライブ」
「ですね」
「首尾は上々ですか?」
35: ◆K5gei8GTyk[sage saga]
2016/08/22(月) 22:20:42.26 ID:Bte9AddR0
「ええ、あいつ、来月Bランクに上がります」
36:名無しNIPPER[sage]
2016/08/22(月) 22:22:14.35 ID:LOxnqTXeO
うわぁ…つま……いや黙っておこう
37: ◆K5gei8GTyk[sage saga]
2016/08/22(月) 22:23:12.94 ID:Bte9AddR0
表情には出なかったものの、持っていた煙草を落としてしまいそうになるぐらいには動揺した。
表情に出なかったというよりは、出せるほどの余裕がなかったという方が適切かもしれない。
彼の横顔を見れば、とても冗談を言っているようには思えなかった。
38: ◆K5gei8GTyk[sage saga]
2016/08/22(月) 22:25:07.95 ID:Bte9AddR0
「数字の上ではもう十分すぎるほどファン層を獲得しているらしいです」
「そう、なんですか」
自分の会社のアイドルのBランク入りが決定したのだから、普通なら一も二もなくそれを祝う言葉が出るべき場面なのだと思う。
39: ◆K5gei8GTyk[sage saga]
2016/08/22(月) 22:27:12.12 ID:Bte9AddR0
「この前」
それから暫く続いた沈黙を破ったのは、彼の方だった。
「あいつがスランプだったって話はしましたよね」
40: ◆K5gei8GTyk[sage saga]
2016/08/22(月) 22:29:02.31 ID:Bte9AddR0
「昨日、ライブのリハーサルを兼ねて、曲を通しで頭から流してみたんです」
「観客はいませんが、本番に立つ予定の舞台に上がらせました」
41: ◆K5gei8GTyk[sage saga]
2016/08/22(月) 22:30:45.39 ID:Bte9AddR0
42: ◆K5gei8GTyk[sage saga]
2016/08/22(月) 22:32:20.21 ID:Bte9AddR0
思い出は美しいものだと、皆が口をそろえて言う。
それは決して、間違いではないと思う。
だけど、美しいだけが思い出ではないとも思う。
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