過去ログ - アンパンマン「ばいきんまんはもういない」
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オータ
◆aTPuZgTcsQ
[sage]
2016/08/23(火) 16:18:28.59 ID:Yu37ZZYbO
「この笑顔はアンパンマンが、自分の顔を渡したから産まれたものなんですね〜。
こどもたちが子供のように笑えるのは、アンパンマンのおかげなんですよ?」
こどもたちもぼくを見て頷くので、ぼくは少し顔が熱くなった。
今までもぼくが顔をあげるとみんな喜んでくれたけど、それはジャムおじさんを褒めているんだと思って、そう思うとぼくは嬉しかった。
なのに、そんなことを言われるなんて思わなくて、ぼくはぎこちなくこどもたちに答える。
「ぼくはそんなにすごくないよ……」
「ううん、アンパンマンはすごいよ。ありがとう、アンパンマン」
「僕たち元気出たよ!」
「わたくしと話している時より、みなさん良い笑顔なんですね〜。
ちょっと嫉妬しちゃいますよ?」
「うん……」
ぼくは赤くなった顔を隠すように頬をかいた。
まだ、ぼくはみんなに気を使ってもらっているのかもしれない。
そうだとすると申し訳ないけど、でもやっぱり嬉しかった。
今までも、ぼくがみんなに感謝されていたのだろうか。
なんて思うと、もっと照れてしまうので、ぼくは考えるのをやめることにした。
そして、もうしばらく歩いていくと、後ろから声が聞こえた。
「アンパンマン、あれが祠だよ」
後ろを歩いていた男の子が指差した方向には、確かに小さな木造の建物があった。
石で出来た土台には紫色の苔が生え、紫色のつたも絡まっている。
ぼくたちはつたをよけて、建物の扉を開けた。
立て付けの悪い木のドアは、きしみながら大きな音をたてる。
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