3: ◆TDuorh6/aM[saga]
2016/08/23(火) 23:26:50.38 ID:zjxhfud6O
ざあざあ、と。
夏特有の急な夕立が夜まで長引いたとある日。
エアコンの除湿が役割を果たしきれず、部屋に干した洗濯物が生乾きになりそうな一夜。
居心地のよろしくない世界から逃れるべく、私は本を捲っていた。
本に一度熱中してしまえば、私の目以外の五感は外界から完全にシャットアウトされる。
そんな特技とも呼べるか分からない習性を活かし、エアコンだけでは足りない部分をカバーしようとしていた。
けれど、昼間からの籠った熱気は未だ止まない雨と相俟り。
なかなか私は、逃れられないでいた。
…はぁ、と一息。
夏と言うのは、なかなかに厄介な季節だ。
冬は良い。
寒いのならば上着を着込めば事足りるから。
手が悴まない限り、本をめくる事が出来る。
けれど、暑いと言うのはどうしようもない。
上着を脱ぐにも限度があるし、湿度のせいで本と指先がしめってしまう。
窓を閉めれば流れ込まない冷気と違って、湿度は場所にあまり依存しない。
特に、今晩の様に強い雨が降っている夜は。
28Res/32.17 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。