386:名無しNIPPER[saga]
2016/12/25(日) 20:31:31.10 ID:WZRWBcW7o
余韻が響く事は無かった。
万雷のような拍手が轟いて、全ての音をかき消してしまったから。
「……」
肩で息を繰り返し、蘭子が振り返る。
三人は微笑んでいて、幸子は今宵も泣いていた。
アーニャと凛に頷かれて、楓が一歩前へ出る。
差し出された手を、蘭子の手が強く強く握り返した。
「……やっぱり、楓さんはズルいよ」
「母は強し、です」
「……あはは」
「む。腕を上げましたね、蘭子ちゃん」
今宵、蘭子が飛び越してみせた歌声。
しかしあの頃と全く遜色無い歌声に、蘭子は観念したように苦笑を零す。
十二時のシンデレラに、二児の母は力強く笑い返した。
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