399:名無しNIPPER[saga]
2016/12/25(日) 23:37:41.64 ID:WZRWBcW7o
「――以上です……重ね重ね、幸せです」
新郎の言葉に、そこかしこから口笛が飛ぶ。
やたらに達者な幾つかが重なって、それは見事なハーモニーを奏でていた。
『それでは最後に、本日もう一人の主役、新婦の蘭子様よりお言葉を頂きます♪』
茄子に呼ばれ席を立つ。
豪奢な靴をこちこちと鳴らし、壇上へと進み出た。
演壇の前に立ち、そっと横目で両親を眺める。
父はいっそ清々しい程に泣き腫らしながら、母がにこやかに蘭子を見つめていた。
再び前を向く。
半分は見知った顔で、もう半分はこれから知り合える顔。
蘭子は不敵に笑った。
「しかと刻め――我が名は神崎蘭子。今宵、この真名は闇へと葬られる」
父も母も、ひどく驚いたように目を丸くした。
彼女が二人を前に、もう一つの『本当の言葉』を話すのは、生まれて初めての事だった。
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