過去ログ - 鷺沢文香「読み終えたら、またここに来てください」
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◆.qG5SOGbi.
2016/09/17(土) 02:08:50.34 ID:iXSMllYE0
「…本当に、時間が経ったものだよ」
軽口を叩いていた店長さんの口調が、その瞬間に確かな重みを持って、零れ落ちた。
「……文香ちゃんがアイドルにスカウトされた日のことなんだけどね」
以下略
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名無しNIPPER
[sage]
2016/09/17(土) 06:26:05.95 ID:TnXmNvAN0
このssのこの感じかなり好き
40
:
名無しNIPPER
[sage]
2016/09/17(土) 17:53:01.32 ID:7VmFtVaPO
もう結婚で負けが決まってるわけだしなぁ
41
:
◆.qG5SOGbi.
2016/09/18(日) 16:29:54.35 ID:aNVVLWUx0
「…あの日の夜、僕に相談してきたんだ。『どうしたら良いのか迷っている』って…
実はその時、正直とても驚いた…すぐに断ると思っていたから。
あの子は、大人しくて、物静かで、すごく引っ込み思案な子だったからね…自分から人前に立とうとするなんて、思えなかったんだよ。
だから『どうして、迷ってるんだ?』って聞かずにはいられなかった。もしその理由や覚悟が中途半端だったなら、
何としても止めるつもりだった。こっちは到底無理だとしか思ってなかったからね…そしたら、あの子がこう言ったんだ。
以下略
42
:
◆.qG5SOGbi.
2016/09/18(日) 16:33:42.02 ID:aNVVLWUx0
店長さんが、こちらをちらりと見ると話をいったん止めた。
「あぁ、ごめん。流石に無神経だったかな」
「……何がですか」
以下略
43
:
◆.qG5SOGbi.
2016/09/18(日) 16:34:26.38 ID:aNVVLWUx0
「だって、君、文香ちゃんのこと好きだったろ?」
44
:
◆.qG5SOGbi.
2016/09/18(日) 16:36:47.69 ID:aNVVLWUx0
頭が真っ白になった。
「は」
「え」
以下略
45
:
◆.qG5SOGbi.
2016/09/20(火) 01:17:30.12 ID:v95LF+Hh0
「……あー…その、すまなかった」
「……いえ、大丈夫です……」
さっきまでの時間が嘘だったかのように、どちらも口を開かなかった。
以下略
46
:
◆.qG5SOGbi.
2016/09/20(火) 01:18:35.36 ID:v95LF+Hh0
「君が、彼女と出逢って、彼女と本をどちらも好きになったのを、僕は見ていたから」
予想は、外れなかった。
47
:
◆.qG5SOGbi.
2016/09/20(火) 01:25:53.08 ID:v95LF+Hh0
また、時間が静かに流れていった。
やがて、店長さんが、ふぅ、と余った息を吐きだした。
「……悪かったね、こんな話をして」
以下略
48
:
◆.qG5SOGbi.
2016/09/20(火) 01:36:24.52 ID:v95LF+Hh0
気づけば、学校はすでにHRを終えていた。
帰るには早すぎた自宅に、もうそろそろ向かっていないと怪しまれる頃だ。
扉の前で店長さんに礼を言うと、彼は少し寂しそうにしていた。
「また、来ます」
以下略
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