過去ログ - 【FGO】うりぼう日記【カルデアヒートオデッセイ】
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6:名無しNIPPER[sage]
2016/08/28(日) 19:17:54.17 ID:GOw0YYf1o
三週目

女神像がついに完成しました!美しく、気高く、神々しく、女神たちの魅力すべてを余すところなく表現した力作です。落成式は盛大に行われ、島はまたもお祭り騒ぎです。島中すべてのうりぼうは女神に感謝の祈りを捧げ崇め奉りました。

この所調子の悪かった長も落成式では女神像完成を祝い、喜びに打ち震えていました。
以下略



7:名無しNIPPER[sage]
2016/08/28(日) 19:18:23.43 ID:GOw0YYf1o
四週目

祭りが終わった後、長の状態はさらに悪化していきました。段々と言葉や道具の意味やその使い方を忘れていったのです。また元々の老齢もあってか体調も優れず、横になっていることが多くなりました。しかしそれでも、日課としている女神像への献花だけは続けています。

ただ問題は長一匹に収まるものではありませんでした。長の症状と同じ物忘れが、今度は島の中心近くに住む若いうりぼうたちにも出始めたらしいのです。ここに来て議会はこの症状の原因を探るべく調査団を結成し、日夜原因の究明に努めています。
以下略



8:名無しNIPPER[sage]
2016/08/28(日) 19:18:50.42 ID:GOw0YYf1o
五週目

うりぼう族を襲う未知の忘却の病。調査団はこれを“アムネジアシンドローム”と呼ぶことを正式決定しました。アムネジアシンドロームの被害はさらに広がっていき、約半分のうりぼう族が、程度の差はあれ罹患していると発表されました。
しかし調査の結果分かったこともありました。それは患者達の共通点です。まず一つは思考能力が高くないものから罹患していくということ。そのためまだ幼い子どもや長のような高翌齢の者達に症状が出やすいということでした。


9:名無しNIPPER[sage]
2016/08/28(日) 19:19:20.36 ID:GOw0YYf1o
もう一つは地理的要因。患者のほとんどは島の中心部に住んでいたうりぼう達でした。即ちそれは、この病の原因が島の中心部にあるのではないかという推測に繋がります。調査団は有志を募り、島の中心部の探索班を結成するようです。この探索で、アムネジアシンドロームの治療法が見つかればいいのですが……。

ああ、尊き我らが女神様。探索班にどうか祝福を……。


10:名無しNIPPER[sage]
2016/08/28(日) 19:19:48.05 ID:GOw0YYf1o
六週目

何故……何故女神様はこのようなことをしたのでしょうか……。
有志による探索が行われました。探索の様子は中継され、島中のうりぼう達はその様子を固唾を呑んで見守りました。そしてある程度時間が経った時に、“ソレ”を見つけてしまいました。
それは島の中心にあるトネリコの大樹に刻まれた呪印でした。その呪印は、我々うりぼう族の文化の発展に特に寄与したとされる、知識と呪印の女神のものによく似ていました。探索班のうりぼう達は女神のものとされる呪印に礼を捧げ、その呪印の調査に取り掛かろうとしたその時でした。
以下略



11:名無しNIPPER[sage]
2016/08/28(日) 19:20:15.58 ID:GOw0YYf1o
そのうりぼうは、失っていました。探索班に志願した熱意も、仲間と築いてきた絆も、想いを表すための言葉も。うりぼう族を発展させてきた、知性すべてを失っていたのです。
阿鼻叫喚。探索班も、中継を見ていたうりぼう達も。すべてのうりぼう族がそのような状態だったようです。僕ももちろんそうでした。
だって当然です。呪印に触れて知性を失ったうりぼうを見れば理解できてしまうことでしたから。アムネジアシンドロームの原因はまず間違いなくあの呪印。そしてあの呪印はおそらくは女神様によるもの。

つまりこの病を引き起こしたのは、他ならぬ我らが信仰していた女神様だということになるのですから。
以下略



12:名無しNIPPER[sage]
2016/08/28(日) 19:20:42.35 ID:GOw0YYf1o
七週目

アムネジアシンドロームを引き起こしたのは女神様だった。これを受けて議会は大荒れとなりました。議員達が女神肯定派と女神否定派に分裂したのです。
女神肯定派は、我々に知性をもたらした女神がその知性を失うことを望むのなら、それを受け入れようと述べました。
女神否定派は、如何に我々に知性を与えた女神だとしてもその知性を奪う権利など持つはずがないとして、アムネジアシンドロームの打破を掲げました。


13:名無しNIPPER[sage]
2016/08/28(日) 19:21:10.19 ID:GOw0YYf1o
議員達もこの時多くが罹患していたためか、議会は口汚ない罵り合いに終始し建設的な話し合いは中々進みませんでした。
そんな中でようやく決まったまともな提案が、うりぼう族全体の方針を決める国民投票でした。公開投票の強制投票。要するにうりぼう一匹一匹がどう考えているか、明らかにしようということでした。
それを受けて今、多くのうりぼうが深く悩んでいます。

ああ、貴き我らが女神様。僕は……僕はどうすればいいのでしょうか……。


14:名無しNIPPER[sage]
2016/08/28(日) 19:21:48.59 ID:GOw0YYf1o
八週目

投票の結果が出ました。結果は僅か数票差で僕を含めた女神肯定派が多数となり、うりぼう族は知性の喪失を受け入れることになりました。
これを受けて、女神否定派の議員は議会を脱退。賛同するうりぼうを引き連れての「新天地計画」を発案しました。新天地計画とは、この島を離れ、別の島へ生活拠点を移しそこで新たに文明を築くという計画です。
一度罹患したうりぼうでも、島の中心部から離れれば症状の進行は緩やかになるということが明らかになっていました。この日記を書く僕がアムネジアシンドロームに侵されていないのは、当初から島のはじの方に住んでいたからなのでしょう。


15:名無しNIPPER[sage]
2016/08/28(日) 19:22:31.37 ID:GOw0YYf1o
対して女神肯定派は、島の不要な設備解体と緑化運動、合わせて「自然回帰運動」に力を入れていくようです。我々が知性を失い野生のうりぼうへと還った後も、最高神が望んだように生きていくための活動でした。
「自然との調和を」
アムネジアシンドロームは、この最高神の言葉を忘れ驕り高ぶった我らへの罰なのだという見方が肯定派の主流でした。
我らの長は、投票時にはすでに知性がかなり喪失しかけていましたが、それでも女神への献花を止めなかったことから女神肯定派となりました。もう自力で身体を動かすことも叶わない状態ですが、それでも女神像の前へ連れていくと、以前のような目を細くした笑顔を見せてくれるのでした。

以下略



16:名無しNIPPER[sage]
2016/08/28(日) 19:23:40.09 ID:GOw0YYf1o
九週目

長が亡くなりました。死因は老衰とのことでした。
我々は知性を持つが故に、例え年老いて身体が動かなくとも出来ることがあります。しかし知性を失い野生へと還った時、身体が動かないというのは即ち死なのです。機能の終わりが生命の終わり。長の死は野生の摂理そのものを表しているような気がしました。

以下略



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