4:名無しNIPPER[saga]
2016/08/31(水) 23:46:49.28 ID:F8h3FaQh0
 「どうしたもなにも、これから仕事なんだよ。あーめんどくさいなぁ」 
  
 『行きたくないんだ?』 
  
 「そりゃそうだよ。サボれるならそうしたいよ」 
5:名無しNIPPER[saga]
2016/08/31(水) 23:49:17.60 ID:F8h3FaQh0
 倒れたままじゃどうかと思いベッドを背もたれに立たせることにして、私はその横に腰を下ろす。 
  
  
 「そんな楽な仕事なんて、羨ましい」 
  
6:名無しNIPPER[saga]
2016/08/31(水) 23:51:15.74 ID:F8h3FaQh0
 『じゃあ、次は髪留めだ』 
  
 「いや、髪ないじゃん」 
  
 『耳にでもつけてくれれば大丈夫だよ』 
7:名無しNIPPER[saga]
2016/08/31(水) 23:53:02.34 ID:F8h3FaQh0
 『じゃ、次は服だ』 
  
 「服? 上はTシャツ1枚し着てないんだけど」 
  
 『ぬいぐるみ前では脱げない?』 
8:名無しNIPPER[saga]
2016/08/31(水) 23:53:55.51 ID:F8h3FaQh0
 『よし、体が軽くなったところで、体をぶらぶらさせてみなよ』 
  
 「ぶらぶらって……こんな感じ?」 
  
 『そうだね。うん。もっと軽やかに。何にも考えずに頭を空っぽにするんだよ』 
9:名無しNIPPER[saga]
2016/08/31(水) 23:55:57.32 ID:F8h3FaQh0
 ふと気が付くと、鏡で見なれた自分の姿が隣に立っていた。 
 ライブ衣装に身を包み、髪留めに付いたクローバーがキラリと光を反射する。 
 ステージマイクを持つ反対の手には、可愛くデコレーションされたスマホが握られている。 
  
  
10:名無しNIPPER[saga]
2016/09/01(木) 00:01:27.56 ID:20XQIHEC0
 『駄目。すぐに元に戻して』 
  
 「何故? きみが望んだことだろう? もうステージに立って歌うことも、レッスンに通うことも、面倒なことは全て僕が代わりに引き受けるさ」 
  
 『それでも駄目。そればっかりは、あげられない』 
11:名無しNIPPER[saga]
2016/09/01(木) 00:02:31.15 ID:20XQIHEC0
 『まだ捨てるとは言ってない!』 
  
 「そうかい。なら、大切にすることだね」 
  
 『わかってる。そんなのわかってるよ!』 
12:名無しNIPPER[saga]
2016/09/01(木) 00:03:47.63 ID:20XQIHEC0
 ……… 
 …… 
 … 
  
 カーテンの隙間から漏れた光が直線となって薄暗い部屋に伸び、それは私の顔に当たって、目覚めを手伝う。 
13:名無しNIPPER[saga]
2016/09/01(木) 00:04:50.63 ID:20XQIHEC0
 「もしもし、プロデューサー?」 
  
 『お、珍しく出たな。もうそろそろ着くから、準備してくれ。いつも通り10分待っても出てこなかったら強制執行だから諦めて――』 
  
 「もう済んでるからすぐ来てくれていいよ」 
14:名無しNIPPER[saga]
2016/09/01(木) 00:06:22.52 ID:20XQIHEC0
 電話越しに、カツ、カツと、ゆったりとした足音が聞こえてくる。 
  
  
 『そりゃ俺にも仕事行きたくない日だってあるさ』 
  
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