6:名無しNIPPER[saga]
2016/08/31(水) 23:51:15.74 ID:F8h3FaQh0
『じゃあ、次は髪留めだ』
「いや、髪ないじゃん」
『耳にでもつけてくれれば大丈夫だよ』
7:名無しNIPPER[saga]
2016/08/31(水) 23:53:02.34 ID:F8h3FaQh0
『じゃ、次は服だ』
「服? 上はTシャツ1枚し着てないんだけど」
『ぬいぐるみ前では脱げない?』
8:名無しNIPPER[saga]
2016/08/31(水) 23:53:55.51 ID:F8h3FaQh0
『よし、体が軽くなったところで、体をぶらぶらさせてみなよ』
「ぶらぶらって……こんな感じ?」
『そうだね。うん。もっと軽やかに。何にも考えずに頭を空っぽにするんだよ』
9:名無しNIPPER[saga]
2016/08/31(水) 23:55:57.32 ID:F8h3FaQh0
ふと気が付くと、鏡で見なれた自分の姿が隣に立っていた。
ライブ衣装に身を包み、髪留めに付いたクローバーがキラリと光を反射する。
ステージマイクを持つ反対の手には、可愛くデコレーションされたスマホが握られている。
10:名無しNIPPER[saga]
2016/09/01(木) 00:01:27.56 ID:20XQIHEC0
『駄目。すぐに元に戻して』
「何故? きみが望んだことだろう? もうステージに立って歌うことも、レッスンに通うことも、面倒なことは全て僕が代わりに引き受けるさ」
『それでも駄目。そればっかりは、あげられない』
11:名無しNIPPER[saga]
2016/09/01(木) 00:02:31.15 ID:20XQIHEC0
『まだ捨てるとは言ってない!』
「そうかい。なら、大切にすることだね」
『わかってる。そんなのわかってるよ!』
12:名無しNIPPER[saga]
2016/09/01(木) 00:03:47.63 ID:20XQIHEC0
………
……
…
カーテンの隙間から漏れた光が直線となって薄暗い部屋に伸び、それは私の顔に当たって、目覚めを手伝う。
13:名無しNIPPER[saga]
2016/09/01(木) 00:04:50.63 ID:20XQIHEC0
「もしもし、プロデューサー?」
『お、珍しく出たな。もうそろそろ着くから、準備してくれ。いつも通り10分待っても出てこなかったら強制執行だから諦めて――』
「もう済んでるからすぐ来てくれていいよ」
14:名無しNIPPER[saga]
2016/09/01(木) 00:06:22.52 ID:20XQIHEC0
電話越しに、カツ、カツと、ゆったりとした足音が聞こえてくる。
『そりゃ俺にも仕事行きたくない日だってあるさ』
15:名無しNIPPER[saga]
2016/09/01(木) 00:07:46.93 ID:20XQIHEC0
「……ドヤ顔は杏だけで十分だからさ、ひとつお願いしていい?」
「訊いといてそれかよ。なんだ? 準備済ませてたからご褒美の飴か?」
「うん、それも貰うけどさ。仕事終わったらでいいから、寄ってほしい所があるんだ」
16:名無しNIPPER[saga]
2016/09/01(木) 00:09:58.95 ID:20XQIHEC0
杏は面倒と言いながらもアイドルを楽しんでほしい。
ここまで読んでくださった方に、ぬいぐるみを。
19Res/8.84 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。