42:名無しNIPPER[saga]
2016/09/01(木) 20:15:31.38 ID:zsoczlY00
―――
鞠莉の家への帰り道。大人しく手を引かれるダイヤも、手を引く鞠莉も一言もしゃべらない。
ダイヤの軽い荷物を背負って隣で歩く私も、何か話す気分にはなれなかった。
それくらい衝撃的だった。それと同時に、なぜだかストンと納得がいった。
気づけなかった自分にも腹が立って仕方がなかった。
おかしかったのだ、はじめから。
2年前のあのステージから、私はずっと不完全燃焼だった。おそらく鞠莉も。
プスプスと音を立ててくすぶっていた私たちを、きちんと燃やしてくれたのはダイヤだった。
私と鞠莉は気持ちを伝え合い、再び一緒にステージに立つことを決めた。
果南(馬鹿だ、私…。ずっとダイヤに甘えて…。)
いつしか、ダイヤが私と鞠莉の仲裁役になっていた。私は仲裁に取り合おうともしなかった。
とにかく鞠莉をステージに縛り付けないことだけに意地になって。
ダイヤはどう思っていたのだろう。私たち3人の中で、一番スクールアイドルへの想いが強かった、ダイヤは。
不完全燃焼だった2年間を、どうやって過ごしてきたのだろう。どんな気持ちで千歌たちを見ていたのだろう。
ダイヤや千歌たちのおかげで気持ちをぶつけあって、過去の自分に向き合えた私たちとは違う。
きっと、ずっと心の中に隠してきたんだ。あの日までのダイヤを。
東京に行くと決まってくるくる回っていたような、あんなダイヤを隠してきたんだ。
きっとそれが、何かのきっかけで出てきてしまったんだ。
果南「何が『ダイヤらしくない』、だ…!」
私は何てことを言ってしまったのだろうか。
お硬い生徒会長で、一歩引いたところから見守ってくれて、複雑な人間関係を修復しようと策を練って。
そんな姿が、一番「ダイヤらしく」なかったのではないだろうか。そしてそんな状態を強要してきたのは―――
悔しくて悔しくて、涙か雨かわからないくらいだった。
64Res/62.01 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。