過去ログ - 麻子さんと世界における普遍的真実【ガルパンSS】
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名無しNIPPER
[saga]
2016/09/01(木) 22:21:57.85 ID:Q6TLHCto0
「こ、困りました……」
みほは悩んだ。ここまでそれなりの電話代と時間を費やしながら、有益なアドバイスが一つも得られていない。
人生における有益なアドバイスをしてくれそうな人として筆頭に思い浮かぶのは継続高校隊長のミカだが、そもそもミカは携帯電話というものを持っていない。継続の他の生徒が、「まースマホなんて拾ったとしてもすぐ売っちゃうからな〜」と発言したという噂もあるが、さすがにデマであろうと信じたい。
「あっ、そうだ……!」
と、そこでミホは重要な人を忘れていたことに気づいた。他にちょっといい事っぽいことを言ってくれる人といえば、あの人しかいないではないか。
◇
『こんな言葉を知っていて? ”自分に欠けているものなど考えても、不幸になるだけ”』
「い、いえ。ダージリンさん」
『スタンダールの言葉よ。言い換えれば、人とは自分が持ち合わせているもので満足することができず、欠けているものをひたすら追い求める業を背負っているともいえるわ。……その方が一番欲しているものは、今その方に欠けているもの。そう考えることはできないかしら?』
◇
お礼を言って電話を切った後、ベッドに体を投げ出し、みほは目をつむる。
麻子さんに欠けているもの。麻子さんが一番欲しいと思っているもの。それって何だろう?
麻子さんって、そもそもどういう人? 学園主席で、戦車のマニュアルを一目読んだだけで操縦を理解しちゃうほどの天才少女。朝が弱くて、ケーキが好きで、いつも冷静で度胸も良くって……それで?
みほの脳裏に、再び病室での孤独そうな背中が浮かび上がる。お祖母さんが倒れたことを聞いた時の、常日頃から想像できないような慌てぶり。病院から帰るときの、不安げな寝顔。
「……」
みほは目を開け、身体を起こす。
これが答えかは、自分にもわからない。麻子さんが喜んでくれるかもわからない。でも……今私が、麻子さんにしてあげたいことは。少なくとも。
みほの手が小さく、きゅっと握られた。
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