13: ◆TDuorh6/aM[saga]
2016/09/03(土) 12:01:40.09 ID:XrMpiq46O
「うそ…」
ポツリ、と呟く。
けれど誰からも反応は無い。
全員が完全に固まっていた。
「…まだ、助かるかもしれない!行かないと!!」
「やめろ凛!風が強いせいで波が高い!今泳いだら凛まで流されるぞ!」
そんな事は分かっている。
けれど、じゃあ何もせずに居るだけなの?
このままプロデューサーが、波に攫われそうになっているのを見ている事しか出来ないの?
「…ボートは?もう一隻ないの?!」
「プロデューサーは…あれ一台しか無いって…」
奈緒の指先には、岩に乗り上げたボート。
つまり、私達があの岩場に向かう手段は無い。
既に少し雨が降り始めていた。
「あ…」
口を開いたのは誰だったか。
見れば、左半身も少しずつ海に沈み始めていた。
けれど、誰も動かない。
動いても、何も出来ないのだから。
「待って!」
叫んで近付こうとした。
けれど現実は非情で。
少し高い波が、左半身も飲み込んでいった
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