4:名無しNIPPER[saga]
2016/09/03(土) 23:57:40.21 ID:I0oov03+0
三階に上がって突当りに見える扉が、今回指定された集会所だ。
時刻は午前十一時。日も昇り始めた時間帯だと言うのに、モール内は閉店後の様な薄暗さをしている。
館内に流れるBGMもはっきり聞こえないためか、どこか不気味な囁きの様に思える。
とはいえ正式な書類で送られてきた以上、いたずらという事はない。
私達はどこか緊張した面持ちで、その扉へと向かって踏み出した。
その時。
視界の隅に、見知った人影を捉えて私は振り返る。
私達から見て右側、十メートル程離れた場所に彼女はいた。
「愛里寿ちゃん……?」
私達とは別の通路を歩く彼女の後ろには、これまた見知った人物が一緒に歩いていた。
綺麗に整えられた七三分けの髪、無機質な四角い眼鏡に黒スーツ。文科省の役人さんで、名前は確か……辻廉太さん。
二人はこちらに気付いた様子もなく、真っ直ぐに通路を歩いていき、商品棚の影へと消えてしまった。
「みぽりんどうしたのー?」
足を止めた私を不審に思って、皆が私に振り返っている。
「あ……ううん、何でもない」
私は直ぐに皆の元へと小走りで駆け寄り、再び歩き出す。
(愛里寿ちゃんも呼ばれてたのかな?)
書類には大洗女子学園の戦車道履修者と書かれていたけど、もしかしたら他の学校の人達も呼ばれているのかもしれない。
そう思って私は、深く考えないまま正面の扉へ手を伸ばした。
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