過去ログ - 【アイマス】憧憬の痛み（菊地真篇） -SS速報VIP

過去ログ - 【アイマス】憧憬の痛み（菊地真篇）

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32: ◆e85MZF7Uug[saga]
2016/09/11(日) 21:58:49.97 ID:g87BXCcB0
「ボーイッシュな娘なら、他にもいるじゃないか。でも真はわざわざ”かっこいい”って付いてるんでしょ？

それって、ちゃんと真を見てくれてるってことじゃないか」

……よく分からない。

33: ◆e85MZF7Uug[saga]
2016/09/11(日) 22:04:26.85 ID:g87BXCcB0
「みんなそうだけど、良い所ってひとつだけじゃないでしょ？」

「うん」

「でも一番良いところってあるでしょ」

34: ◆e85MZF7Uug[saga]
2016/09/11(日) 22:06:58.38 ID:g87BXCcB0
「そんなに褒められると、て、照れるぞ……」

「響が言えって言ったんじゃないか」

面と向かって相手を褒めるのって、ちょっと恥ずかしいのに。

35: ◆e85MZF7Uug[saga]
2016/09/11(日) 22:09:50.81 ID:g87BXCcB0
「自分も動物と仲が良い、なんて長所とは思ってなかったぞ。でもさっき真に言われて思ったんだ。

自分が気付いてないだけで、実はそれも長所なんじゃないかって。それを真が気付かせてくれたんだって」

「………………」

36: ◆e85MZF7Uug[saga]
2016/09/11(日) 22:18:39.22 ID:g87BXCcB0
　今夜はここまでです。
それでは、また。

37: ◆e85MZF7Uug[saga]
2016/09/12(月) 21:36:59.19 ID:ISeU6LZQ0
「自分、ほんとは真のことがちょっと羨ましいんだ……」

「なんで……？」

訊く声が震えてしまう。

38: ◆e85MZF7Uug[saga]
2016/09/12(月) 21:39:20.10 ID:ISeU6LZQ0
「それは自分も同じだったんだ」

「同じ？」

「自分がどうやったって手に入れられないものを、真は持ってる。レッスンしたって逆立ちしたって――絶対に手に入らないんだ」

39: ◆e85MZF7Uug[saga]
2016/09/12(月) 21:41:41.37 ID:ISeU6LZQ0
「だから……もっと自信を持っていいと思う。誇りにするべきだぞ」

最後は真っ赤になって俯いてしまった。

自信か――。

40: ◆e85MZF7Uug[saga]
2016/09/12(月) 21:44:33.36 ID:ISeU6LZQ0
「ちょっとは元気でた？」

次の瞬間にはもう響はいつもの快活な顔に戻っていた。

こういう切り替えの早さはボクも見習いたいよ。

41: ◆e85MZF7Uug[saga]
2016/09/12(月) 21:53:06.06 ID:ISeU6LZQ0
「響、ありがと……」

どうして突然ダンスバトルなんか――って思ってたけど、その理由が分かった気がする。

「お礼を言われることなんてしてないぞ。当たり前のことをしただけ。真だってそうするでしょ？」

42: ◆e85MZF7Uug[saga]
2016/09/12(月) 21:55:27.73 ID:ISeU6LZQ0
「自分、ダンスの時に周りに合わせずに飛ばし気味になる癖があってさ。レッスンでも時々言われてるだろ？

もうちょっとテンポを落とせって」

たしかに、そう指導されているのを聞いたことがある。

43: ◆e85MZF7Uug[saga]
2016/09/13(火) 21:59:06.08 ID:5k2WcnJG0
「……ちょっとは恩返しになったかな」

響がそう呟いたのを聞き逃さなかった。

「何のこと？」

44: ◆e85MZF7Uug[saga]
2016/09/13(火) 22:05:49.53 ID:5k2WcnJG0
「ボクは友だちとして、響を助けたいって思っただけで――」

「じゃあ自分も同じってことで」

こうやってすぐに切り替えられる思いきりの良さが、響の長所なんだろうな。

45: ◆e85MZF7Uug[saga]
2016/09/13(火) 22:08:54.79 ID:5k2WcnJG0
「似てる部分がある、っていうのは最初から分かってた。ボクが勝負できるのはスポーツとか、

それに通じるところがあるけどダンスとか、それくらいしかなかったから」

「それは…………」

46: ◆e85MZF7Uug[saga]
2016/09/13(火) 22:13:03.09 ID:5k2WcnJG0
「真はバカだな」

「う…………」

そうハッキリ言われるとさすがに傷つくよ……。

47: ◆e85MZF7Uug[saga]
2016/09/13(火) 22:20:22.63 ID:5k2WcnJG0
「自分と真がこの事務所にいるのは、似てるところだけじゃなくて、違うところもちゃんとあるからだと思う。

そうじゃなかったら、どっちかがクビになってるぞ……」

それは穏やかじゃない。

48: ◆e85MZF7Uug[saga]
2016/09/13(火) 22:26:15.47 ID:5k2WcnJG0
「よかった……」

小さな声でそう言う響の声が、なぜか胸に刺さるようだった。

ずっと悩んでたことがやっと解決したときのような、本当に安心したときに出る声だ。

49: ◆e85MZF7Uug[saga]
2016/09/13(火) 22:30:18.95 ID:5k2WcnJG0
「どう、かな……？」

だけど響はそうじゃなかったみたい。

「つい弱気になったり、上手くいかなくてイライラしたりするのって、仕方がないと思うぞ。

50: ◆e85MZF7Uug[saga]
2016/09/13(火) 22:34:46.51 ID:5k2WcnJG0
「いい顔してるぞ、真」

快活な声に鏡を見ると、たしかに今までとはちがって見えた。

開きなおり――ではないけれど、受け容れられなかったものが受け止められるようになった、というか。

51: ◆e85MZF7Uug[saga]
2016/09/13(火) 22:37:51.95 ID:5k2WcnJG0
　以上で終了です。
お読みくださり、ありがとうございました。

52:名無しNIPPER[sage]
2016/09/13(火) 22:55:16.61 ID:KVD+IjmOo
乙でした

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