21:名無しNIPPER[saga sage]
2016/09/07(水) 23:31:16.58 ID:4GoJhFxk0
  まゆが立っているのは、いつもの見慣れた事務所の前。 
  まゆがもうお別れするつもりの少し大きな建物。 
   
  背中を押され、階段を上り、二階にある事務所の扉の前まで連行されます。 
  
  
  
 「まあ、向こうはもう折れていますので、話し合いも何もありませんけどね」 
  
   
  
  最後にちひろさんはそう呟くと、事務所の扉を開けました。 
  
  中にいたのは、薄々予想はしていましたが――スーツ姿のPさんでした。 
  
  Pさんはまゆを見て、次いでちひろさんを見て頭を深く下げました。 
  
  
  
 「ありがとうございます、ちひろさん」 
  
 「どういたしまして。ただし、今月の給料は全部消えると思ってくださいね?」 
  
  
  
  Pさんはその言葉に苦笑いをすると、まゆに向き直ります。 
  その瞳はまるで、地元で初めてスカウトしてきた時のように真っ直ぐで。何かを決心しているようで。けれど少し怯えているようで。 
  まさに、まゆが初めて惚れたPさんの瞳でした。 
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