14:名無しNIPPER[saga sage]
2016/09/07(水) 23:19:09.46 ID:4GoJhFxk0
  話して、下さいよ。 
  どうして、何も言ってくれないんですか? 
  まゆはもっともっと……誰よりもPさんの事を知りたいのに……! 
   
  
15:名無しNIPPER[saga sage]
2016/09/07(水) 23:20:04.74 ID:4GoJhFxk0
 「わ、悪い、怒鳴るつもりはなかったんだ」 
  
  
  
  ――握手会は、ファンの顔を最も近くから見ることの出来るイベントだと聞いたことがあります。 
16:名無しNIPPER[saga sage]
2016/09/07(水) 23:21:36.40 ID:4GoJhFxk0
 「……は? 何だって?」 
  
  
  
  これまでは、貴方を見て、貴方に見てもらえればいいと思っていました。 
17:名無しNIPPER[saga sage]
2016/09/07(水) 23:22:29.04 ID:4GoJhFxk0
  言葉を発していたPさんの唇を塞いでいるのは、今までPさんに見せていたのとは全く別物の佐久間まゆ。 
  
  
  数秒の硬直の後、ゆっくりと唇を離していく。 
  レッスンで鍛えているとはいえ、精一杯の背伸びを維持した足は乳酸がたまるため、発生するのは痛みと倦怠感。 
18:名無しNIPPER[saga sage]
2016/09/07(水) 23:23:39.19 ID:4GoJhFxk0
  ドンッ! という擬音の直後に襲ってくるのは背中と頭への鈍痛。 
  
  
  次いで、Pさんの怒号と今の音を聞きつけたスタッフさんたちが部屋に次々と入ってきて。 
  
19:名無しNIPPER[saga sage]
2016/09/07(水) 23:25:45.53 ID:4GoJhFxk0
  目を覚ましたのは、CDショップから最も近い病院。 
  何の変哲もない個室でした。 
  
  お見舞いに来たちひろさんの話を聞く限り、重症だったのは頭の方で、それでも軽い脳震盪だそうです。もうしばらく安静にしていれば何の後遺症も残らないそうです。 
  
20:名無しNIPPER[saga sage]
2016/09/07(水) 23:30:13.79 ID:4GoJhFxk0
 「まゆちゃんはね、悪くないの」 
  
 「どちらかと言えばプロデューサーさんが悪い」 
  
 「でも本質的にはどちらも悪くないの」 
21:名無しNIPPER[saga sage]
2016/09/07(水) 23:31:16.58 ID:4GoJhFxk0
  まゆが立っているのは、いつもの見慣れた事務所の前。 
  まゆがもうお別れするつもりの少し大きな建物。 
   
  背中を押され、階段を上り、二階にある事務所の扉の前まで連行されます。 
  
22:名無しNIPPER[saga sage]
2016/09/07(水) 23:32:09.86 ID:4GoJhFxk0
  Pさんの瞳はまゆの瞳を掴んで離しません。 
  思わず息をのみます。 
  もうすでに諦めたはずなのに。終わっているって理解しているくせに。 
  今まゆが抱いているのは誰がどう言ったって完全に――恋心。 
   
23:名無しNIPPER[saga sage]
2016/09/07(水) 23:33:00.20 ID:4GoJhFxk0
  まゆの心の中の訴えもよそに、Pさんは「ふぅ」と息を吐いて、その後大きく息を吸って。 
  
  
  
 「俺は佐久間のことが好きだ!! 優しそうなたれ目も、艶やかな髪も、シュッと整った鼻も、小ぶりな耳も、話し方も、服のセンスも、一歩引いて俺を見守ってくれるような奥ゆかしさも、柔らかい唇も、全部――全部!!」 
24:名無しNIPPER[saga sage]
2016/09/07(水) 23:34:09.56 ID:4GoJhFxk0
 「やっぱりお前、嘘だと思ってるだろう。俺、人生でここまで嘘偽りなく自分の思いをぶちまけたの初めてだぞ?」 
  
 「だ、だってPさんは……」 
  
 「おう、俺がなんだ。言ってくれ」 
25:名無しNIPPER[saga sage]
2016/09/07(水) 23:35:14.85 ID:4GoJhFxk0
 「か、顔を上げてくださいよぉ!」 
  
  
  
  まゆが必死にそう言うと、Pさんは数秒後にゆっくりと面を上げました。 
26:名無しNIPPER[saga sage]
2016/09/07(水) 23:38:15.87 ID:4GoJhFxk0
 「いえ……。ただ、Pさん、お顔が真っ赤ですよぉ?」 
  
 「それお前もだからな」 
  
  
27:名無しNIPPER[saga sage]
2016/09/07(水) 23:39:25.44 ID:4GoJhFxk0
 「うぅっ……ぐすっ……」 
  
  
  
  泣き出した私を、Pさんは優しく抱きしめてくれます。 
28:名無しNIPPER[saga sage]
2016/09/07(水) 23:41:47.28 ID:4GoJhFxk0
  俯いていた顔をあげ、まゆの大好きなPさんの瞳を見据えます。 
  本当のところ、涙でぐしゃぐしゃの顔は多分とっても醜いので、Pさんに見せるのはとても恥ずかしいです。 
  でも……今は、今だけはPさんの瞳を真っ直ぐと見つめたいから。 
  その思いはPさんにも伝わったのか、Pさんもまゆから視線を離しません。 
  
29:名無しNIPPER[saga sage]
2016/09/07(水) 23:45:04.25 ID:4GoJhFxk0
  今度は指で言葉を遮るなどという無粋なことはしません。 
  けれど、押すタイミングだけは絶対に間違えません。 
  
  
  
30:名無しNIPPER[saga]
2016/09/07(水) 23:47:31.16 ID:4GoJhFxk0
 短いですが終わりです。 
 ままゆのお誕生日&デレステ一周年記念に抱えていただきました。 
  
 なんとか誕生日に間に合わせようと、後半特に雑になってしまったのが唯一の心残りです。 
  
31:名無しNIPPER[saga]
2016/09/07(水) 23:48:19.62 ID:4GoJhFxk0
 書かせて、ですね。 
  
 HTML化依頼は忙しいので明日出します。 
32:名無しNIPPER[sage]
2016/09/07(水) 23:58:56.70 ID:ggOjMyYyo
 よかった、乙! 
 まゆかわいいよまゆ 
 そしてさりげなく幸子をアマゾンに行かせるP、いつも通りだな! 
33:名無しNIPPER[sage]
2016/09/09(金) 00:51:12.70 ID:g9iuNA4cO
 砂糖吐きそう 
 乙 
34:名無しNIPPER[sage]
2016/09/21(水) 04:26:40.45 ID:UmGCScnno
 おつ 
 ちひろさんは近くで砂糖でもはいてるのかな 
  
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