902: ◆4RMqv2eks3Tg[saga]
2016/11/14(月) 20:57:45.67 ID:7J8WcdpBO
私は構わずに続けた。
求める力を手に入れるには、相応の対価を支払わなければならないこと。
支払う対価を確固たるものにする為に、聖女さんに会いに来たということ。
それから……
夫が出来た喜びを、子を宿した喜びを、家族となった喜びを、私は知らなければならない。
それらを奪われた怒りを、悲しみを、虚しさを、心の嘆きを、私は知らなければならない。
そう、私が言った瞬間。
狩人「おばさんにそれを聞くことが、どれだけ残酷なことか分かって言ってるのか」
狩人は私の胸ぐらを思い切り掴み、矢を射るときのような鋭い眼で睨み付けた。
目尻には、涙がしがみついていた。
聖女さんの孤独、勇者への愛を知っているからだろうと、私は思った。
聖女さんをどんなに大事に思っているかが、服を掴む指先の震えから伝わってくる。
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