過去ログ - 澪「シンクロナイズドドリーミング」
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34:名無しNIPPER[sage saga]
2016/09/09(金) 16:46:45.57 ID:ROM1DOs8o
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澪「――って、ああああ!? ちょっと待って、まだ覚めないで!!」


目が覚める直前に、とんでもない事に思い至り、私は叫んだ。
が、手遅れだった。私はすでに夢の舞台からは退場していて、私の声は現実世界で響き渡る羽目となる。
マ――お母さんの私を気遣う声に返事をしながら、一人で考える。
まずい、まずい。これはよくない。
考えると言いながらどう見ても今の私は焦っていないか、なんて自分を顧みる余裕も無い。
肝心な事を聞きそびれてしまった。正確に言えば確かめ損ねてしまった。目が覚める瞬間まで疑問を抱けなかった。長々と真面目な話をしていたせいでそこまで頭が回らなかった。

昨夜の夢の世界。あの時私の前に黒唯が立っていたのと同様、唯の前には私と同じ姿をした彼女が立っているはずだ。これは彼女の話からしても確実だ。
そして、私の前に立つ黒唯は完全に唯の姿をしていた。なら同様に唯の前に立つ私も完全な姿をしていたはずだ。
つまり、唯の方から見ても私が恋愛感情を抱いてユリームシステムに捕捉されている、という事は明白。いくら唯でも彼女の説明を聞けば理解するはずだ。
そしてそれは、私が唯に恋愛感情を抱いているという事が筒抜けである事と同義なんじゃ・・・?

・・・いや、一応抜け道はある。説明を聞いた限り、恋愛感情さえ抱いていればシステムは姿を再現する。つまり、自身に向けての恋愛感情である必要はないわけだ。
つまり唯から見れば、『彼女』が私を演じて唯に迫ったりしていない限りは確証は持てない状況のはずだ。
まあそれでも私が恋をしてるという事は筒抜けなわけだが、本人にバレてしまうよりは恥ずかしくない。

もっとも、私は唯を再現した黒唯に迫られたため、唯が私を気にしてくれている事は知ってしまっている。
それなのに唯には隠し通そうというのは、フェアじゃないといえばフェアじゃない。
だから、まあ、バレてしまっていたなら仕方ない。同じラインに並んだだけの事だと受け入れよう。

・・・ただ、バレてるのかバレてないのかわからない状態自体が拷問にも等しいという事が問題なわけで。


澪「ど、どっちなんだろう・・・うぅ、唯に会うのが怖いな・・・」


会うのは怖いけれど、顔を見たくないわけではない。そんな複雑な乙女心(自分で言うか)を抱えて、私は学校へ向かう。

――そして、唯に会う。
不運にも、校門の所で偶然鉢合わせしてしまった。こういう時に限って不運にも一人で登校していたりする。
もっとも、唯に会える事自体は幸運なのだが。


唯「あっ、澪ちゃん、おはよー」

澪「お、おはよう!」


クラスも違うし、家もほどほどに離れている。会うのは放課後になるだろうと高をくくっていた私は、完全に不意打ちを喰らった形となった。
しかし、唯の振る舞いはわりと普通、いたっていつも通りだ。


唯「あっ、ねぇ澪ちゃん、辞書持ってきてない? 授業で使うんだけど忘れちゃって・・・」

澪「あ、ああ・・・持ってるよ。こっちは使う授業ないし、貸してあげるよ」

唯「わーい、ありがと! でもなんで授業ないのに持ってきてるの? あ、歌詞書くときに?」

澪「うん、そんなとこ」


またいつ歌詞が必要になるかわからないし、学校で何か思いつくかもしれないし、常に備えておきたいと思って持ってきている。
もっとも、本当は学校で歌詞が書けるなんてそこまで期待はしてないんだけど、備えあれば憂い無し。
実際こうして唯の役には立てたわけだし、悪くない。忘れ物をした唯は悪いけど。
そうだな、なんか唯もいつも通りみたいだし、私もいつも通りに接しよう。



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