過去ログ - 澪「シンクロナイズドドリーミング」
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49:名無しNIPPER[sage saga]
2016/09/09(金) 17:15:10.75 ID:ROM1DOs8o


澪「・・・ありがとう、唯。話してよかった。話すきっかけをくれて、そして正解をくれて、ありがとう」

唯「でへへ、照れるねー。どういたしまして。澪ちゃんから見れば頼りないかもしれないけど、たまには頼ってね」

澪「頼りないなんてことはないよ。唯はいつだって真っ直ぐで、輝いてて。そんな唯のことが・・・好きだから、私」

唯「・・・もう、返事は後でいいって言ったのに」

澪「あはは・・・ごめん。でも、今伝えたかったんだ」

唯「謝らなくていいよ、嬉しいから。ね、それじゃあさ」


唯が一歩近づく。
唯の顔が、すぐ近くにある。


唯「これで私達――」


唯が何か言おうとしたその瞬間、唯の顔の表面に、私は『誰か』を見た。
何故か、その子は悲しげな顔をしていた。
理由はわからない。唯の言葉も・・・そこから先を紡いでいない。


唯「っ、ご、ごめん澪ちゃん。その、えっと・・・」

澪「・・・もしかして、同じことを考えてたんじゃないかな、私達」

唯「えっ?」


確たる根拠なんてない。全く同じタイミングで動きが止まった事。唯の瞳に映る私が、唯と同じような表情をしていた事。それくらいしかない。
でも・・・私の好きな唯なら『この考え』に至ってもおかしくない。


澪「たった今決めたことに、当てはまらない子がいることに気付いた。違う?」

唯「!!」


『彼女』との付き合いが長くなってしまった私。
『彼女』と会ったのは私より遅いけど、誰ともすぐに仲良くなれる優しい唯。
そんな私達が、皆と仲良く、なんて決めた直後に、互いの顔を間近で見たら・・・


唯「お別れ、なんだよね、あの子と・・・」

澪「次の子のところに行くだろうから、そうなるだろうな・・・」

唯「・・・」


悔しそうな顔をしていた。
慰めならいくらでも言える。それが彼女の仕事だからしょうがないとか、そもそも夢の世界の住人なのだからとか、唯に責任はないのだからいくらでも言える。
でも、どう慰めたって唯の表情は晴れないだろう。そこに仲良くなった子との別れがある限り。恐らくは永遠のであろう別れがある限り。
そもそも唯は悲しんでいるわけではなく、悔しがっているように見える。
悲しみなら慰めは意味を成すし、時間も心を癒やしてくれる。でも悔しさに慰めはほぼ無意味だし、時が流れれば余計に後悔として募るばかりだ。
後悔はいつか、どこかで払拭しなくてはならない。彼女が教えてくれた事だ。でも永遠の別れでは払拭する機会が得られない。
だから、私はある提案をした。非常識な言葉を唯に告げた。


澪「・・・付き合うの、もう少し先延ばしにしようか」


最悪の延命策。みっともない引き伸ばし。そして何より、告白してくれた子に対して言うのは到底許されない言葉。
だけど、唯は一も二もなく頷いてくれた。
この時確かに、私と唯の胸の内はシンクロしていたのだろう。『彼女』との別離を拒む、その一心で。



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