過去ログ - モバP「ロマンチスト・エゴイスト」
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7:名無しNIPPER[sage]
2016/09/09(金) 18:11:33.73 ID:hnFuSz2go
座卓に志希の分の紅茶を入れたマグカップを置き、俺は椅子に座る。
顔を上げて志希がマグカップを手に取る。

「熱いから気をつけろよ」

俺は息を吹きかけ紅茶を冷まし、一口啜る。
ティーバッグなので特に美味くも不味くもないが、身体は温まるだろう。
それを見て志希も紅茶を飲む。

「美味しい」

こんなものを出してやる事しかできない自分に苦笑してしまう。
そのうち、来客用にドリップコーヒーや茶葉でも用意するか。
俯いてマグカップの中の紅茶を見つめたまま、志希は意を決したように口を開いた。

「あたし、居場所が欲しかったんだ」

「居場所?」

「うん。子供の頃は実家があたしの居場所だと思ってた。普通そうだよね。でも違ったんだ。何歳の時だったかな、パパはあたしとママに対して興味をなくして研究に没頭し始めた。大学に寝泊まりするようになって家にも帰ってこなくなってママもいなくなっちゃった。ネグレクトって事でもなくて、家には家政婦さんが来るようになった。パパはあたしやママが嫌いになったわけじゃなくて、本当に単に興味がなくなっただけなんだろうね。あの人あたしよりぶっ飛んでるし、それでその時に、あーここには私の居場所は無いんだなーって思うようになった」

志希が父子家庭だということは履歴書にも書いてあったが、詳しく聞いたことはなかった。


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