11:名無しNIPPER
2016/09/09(金) 20:43:31.60 ID:mHQTk8ix0
 「『俺が働かせすぎたせいかもしれん…』と部長も心配しておられましたよ?ですから、Pさんの今の仕事は体調を戻すことです」 
  
 「すみません、ありがとうございますちひろさん…」 
  
 俺が頭を下げると同時に、お盆を持って歩いてくる小梅の姿が見えた。 
  
 「お、お茶…飲む?」 
  
 「ああ、すまんな小梅。ありがとう」 
  
 小梅は普段おとなしいが、俺が弱っている時には積極的に労ってくれる。 
 年齢的にはまだまだ幼いのに、立派なものだ。 
  
 それにしても、担当アイドルにまで気を遣わせるとは… 
 いよいよもって情けなくなってきた。 
 やはりちひろさんの言う通り、ゆっくり休むべきなのだろう。 
  
 「それで…Pさん今日はお帰りになられますか?それとも、もう少し事務所で休んでいくか…」 
  
 「そうですね…折角お休みをいただいたので、帰ってしっかり休むようにします。本当にすみません」 
  
 「いえいえ、元気になってからまた頑張りましょうね!」 
  
 「気をつけて、帰ってね…ばいばい」 
  
 ちひろさんと小梅に見送られ事務所を出た俺は、真っ直ぐに駅へと向かった。 
 まだ頭がぼんやりする… 
 缶コーヒーでも買うべきか? 
  
 このまま家に帰ったとしても眠るのが怖い。 
 あの夢を見るのは出来るだけ避けたいし、また夢遊病のように溜め池に向かってしまったら… 
 幸いアパートのすぐ近くにはネットカフェがある。 
 そこで眠れば、仮に夢遊が起こったとしても店員か誰かが止めてくれるだろう。 
  
 電車に揺られ、ウトウトしながらも目的地へ進む。 
 それにしても、朋のくれたおまもりはあんまり役に立たなかったな… 
 結局昨日は無意識のうちに溜め池へ足を運んでしまったわけだし。 
 まあアイツが占いをハズすことも珍しくはないから、今回のおまもりも効能の無い贋作だったのかもしれない。 
 今度会った時にでも返した方がいいかな、などと考えているうちに駅に着いた。 
  
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