過去ログ - 白坂小梅「溜め池からの呼び声」
1- 20
13:名無しNIPPER
2016/09/09(金) 20:45:34.08 ID:mHQTk8ix0
再び目を覚ました時、辺りは真っ暗だった。
おかしい。
これはどう考えてもおかしい。
一眠りして夜になった、ここまでは理解できる。
しかしネットカフェの店内が暗いわけがない。
明らかに自分は、今屋外にいる。

見覚えのある場所…
いや、見覚えも何も、ここは昨日も来た場所ではないか。
あの忌まわしく、不気味な溜め池。

「何で…何でここに来ちまうんだよ!」

頭の中で精一杯叫んだが、喉からその声は出ない。
辺りはシンとして、虫の声と木々のざわめきが微かに聞こえるだけだった。

嫌だ…
溜め池に近づきたくないのに、足が自然とそちらへ向かう。
溜め池を覆う柵は低く、大人なら簡単に乗り越えられるだろう。

どうして、どうして俺はこんなに池に惹きつけられるのか。
自分の目に涙が浮かぶ。
死にたくない。
溺れ死ぬなんて嫌だ。

まだやることはいくらでも残っているんだ。
小梅や朋に俺は今までどれだけのことをしてやれただろう。
俺にはアイツらが必要で、アイツらにとっても俺は必要なはずで…
こんな訳のわからないままリタイアなんて…

思考だけが加速し、足は一定の歩みを止めない。
溜め池との距離が縮まっていく。
10メートル、5メートル、1メートル…
嫌だ、怖い、死にたくない!



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
24Res/27.77 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice