3:名無しNIPPER
2016/09/09(金) 20:20:21.96 ID:mHQTk8ix0
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 小梅を車に乗せてロケ現場へと向かう。 
 事務所からそう遠くない距離ではあったが、今朝の夢の話をするには十分な時間があった。 
 出来れば夢のことは思い出したくなかったが、小梅に相談すれば何かわかるかもしれない、と思ってのことだ。 
4:名無しNIPPER
2016/09/09(金) 20:21:11.36 ID:mHQTk8ix0
 その後は車で移動しながら小梅と軽い打ち合わせを行い、ロケ現場へと到着した。 
 小梅を降ろした後、俺はそのまま事務所へとUターンする予定だった。 
  
 「Pさん…気を、つけてね…」 
  
5:名無しNIPPER
2016/09/09(金) 20:23:52.44 ID:mHQTk8ix0
 朝は小梅を送り届ける用事があったが、それ以降は特に外出する予定はなかった。 
 事務所にこもっての雑務処理は本来好きではないのだが、今日に限っては煩わしい作業も良い気晴らしになるだろう。 
 もちろん、夢のことをすっかり忘れられるほどではないだろうが… 
  
 午後三時を過ぎた頃、眠そうな顔の藤居朋が事務所にやってきた。 
6:名無しNIPPER
2016/09/09(金) 20:27:21.38 ID:mHQTk8ix0
 それなら、俺が見た夢もそんなに悪いものじゃなかったってことか? 
 しかし甘い期待は脆くも打ち砕かれる。 
  
 「ただ、それは穏やかな湖の場合に限るの。マイナスのイメージを抱く夢なら…凶兆になるわ」 
  
7:名無しNIPPER
2016/09/09(金) 20:28:52.92 ID:mHQTk8ix0
 その後は特に目立った問題もなく業務を終えられた。 
 朋にもらったおまもりのお陰か、心なしか気楽に仕事ができたのが良かったのだろう。 
  
 今は繁忙期でもないため、20時には会社を出ることができた。 
 昨日作っておいたカレーがまだ家にあることだし、寄り道せず帰ることにしよう。 
8:名無しNIPPER
2016/09/09(金) 20:30:16.59 ID:mHQTk8ix0
 気づくと俺は溜め池のほとりに立っていた。 
 夢で見た景色? 
 違う。今は現実だ。 
 辺りは暗く、古びた電灯が薄く世界を照らしているだけ。 
  
9:名無しNIPPER
2016/09/09(金) 20:31:49.82 ID:mHQTk8ix0
 「Pさん、目のクマ…酷いよ…?」 
  
 翌朝小梅と会った時の第一声がそれだった。 
 昨日は結局一睡もしていない。 
 今朝は鏡で自分の顔を確認したが、まったく酷いものだった。 
10:名無しNIPPER
2016/09/09(金) 20:32:47.58 ID:mHQTk8ix0
 「ん…」 
  
 何時間ぐらい眠っていたのだろう。 
 重たい身体をソファーから起こす。 
 今回は夢を見ずに済んだようだ… 
11:名無しNIPPER
2016/09/09(金) 20:43:31.60 ID:mHQTk8ix0
 「『俺が働かせすぎたせいかもしれん…』と部長も心配しておられましたよ?ですから、Pさんの今の仕事は体調を戻すことです」 
  
 「すみません、ありがとうございますちひろさん…」 
  
 俺が頭を下げると同時に、お盆を持って歩いてくる小梅の姿が見えた。 
12:名無しNIPPER
2016/09/09(金) 20:44:18.41 ID:mHQTk8ix0
 眠い頭でも慣れた動作は難しくないらしい。 
 手短に受付を済ませた俺は、ブランケットを受け取った後、壁際のリクライニング席へ滑り込む。 
 平日の昼とは言え、幾人か客もいるようだ。 
 名前も知らない人たちばかりなのに、一人でないというだけでこんなにも心強いのか。 
  
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