過去ログ - 1人だけ記憶の戻ってしまった三葉の話
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名無しNIPPER
[saga]
2016/09/11(日) 12:12:44.27 ID:rMd6G09pO
***
寒気が全身を包んでいる。
薄暗い部屋にくしゃみの音が響いた。
横になり、ベッドに身体を預けると、頭がグラッと揺れた気がした。
どうやら風邪をひいたようだ。
薬を飲み、布団にくるまると、暗闇に引きずり込まれる様に目を閉じた。
身体ごと安寧の泥に引きずり込まれ、意識だけをかろうじて繋ぎながら私は眠りに落ちた。
瀧くん……瀧くん……
ぼやけた意識のなかで君の名を呼ぶ。
きっとそれは現実感の無いままに、はかなく終わらなければならなかった恋だった。
無理矢理に引き伸ばして、今では皺だらけでくしゃくしゃになっている。
それでも私は君の名を呼ぶ。
ボロボロになった恋に見捨てられたって構わない。私達はあの頃と何1つ変わってないから。
私の知らない時間を生きてきた君も、
確かに瀧くんだから。
それだけで私は何度でも恋をする事が出来るから。
瀧くんはどうかな?君の知らない私であっても好きになってくれるかな。
私は君の名を呼ぶ。
忘れない様に、繰り返しその名を呼ぶ。
君がどこにいても見つけ出せる様に。
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