過去ログ - 姫川友紀「好きって気持ち、少しまえ」
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◆saguDXyqCw
2016/09/14(水) 00:59:45.03 ID:Gp4ENr9z0
雑巾を手に戻ってくると、プロデューサーは鞄を机の上の隅に置いて、書類に目を通し始めていた。
鞄は閉じられていた。
……一度見ちゃうと、やっぱり気になっちゃうなぁ。
「ねーえー、プロデューサー」
床を拭き終わり雑巾を戻してきたあたしは、プロデューサーの背中に声を掛ける。
プロデューサーは書類を片手に振り返った。
「どうしたんだ」
「今日はあたしの誕生日じゃーん。そのー、なにかないの?」
「ああ、そうだった誕生日おめでとう」
ワザとらしい笑顔で言うとクルッ椅子を元に戻した。
あたしは椅子の背を持ってクルッとこちらに向きなおさせる。
眉間にしわを寄せてるプロデューサーを、あたしは満面の笑顔でお出迎え。
「いやいやいやいやー。そうじゃなくてさぁ」
「なんだよ、祝われて嬉しくないのか」
「言葉も嬉しいよー。でもー」
前屈みになりながら、小さく両手を差し出した。
「ねえ、プロデューサー? なにか渡すものとかぁ……ないの?」
「あのなぁ……」
言葉を濁したプロデューサーは、急に顔を背けた。
なんだか顔が赤い。
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