929: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/04/06(木) 04:58:30.28 ID:GGWjuIRv0
BAP(有機人造兵器計画)の解析について、アンドロイド開発は順調に進んでいる思われていたが、大きな問題に直面していた。それは、回収してきたアンドロイドが放浪者との戦闘時に置いて受けた損傷個所。そこが順調と思われた開発を足踏みさせることとなった。
打ち込んだエレクトロスピアは、生きた脳髄を外れてその連結部分に食い込んでいた。その後、エレクトロスピアの放電によりショートした訳だが、それにより脳髄から発信される信号を受信し、各機関へのその信号を流す部分が完全にイカれてしまっている状態だった。
つまるところ、人間でいう頸椎に当たる部分が損傷によりどう機能していたかはっきりしない状態だった。
当然、必ずしもBAPが製作した試作機通りに開発を行う必要はない。そもそも、拠点も、もちろん研究所も生きた人間の脳髄を移植して稼働するアンドロイドを製作するつもりはないのだから。
しかし、そうなると応用するとはいえ1から発した信号通りに稼働できる受信部分を製作する必要が出てきていた。これにより、開発自体の進捗はだいぶ戻されたと言っていい。
「…パラノイアとの戦いまでに、やれるかどうかか」
研究員に指示を飛ばしながら、野木はつぶやく。間に合わせられるかは、もともと保証はなかった。だからこそ、間に合えば優位に立てるのは間違いないプロジェクトなのだ。
「困難な方が、燃えル! て、アニメのキャラが言ってたヨ! 頑張ろウ!」
息詰まる現場で、アリスがいつも通りの様子で、それでいてとても楽しそうに笑っている。出来ないと思われることを成し遂げること、それが出来た時の幸福感を誰よりも知っているからだった。
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