37: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/09/25(日) 17:27:59.88 ID:d4YmaynD0
「すれ違ってるなって感じるけど、私は騙されたなんて思ったことないよ」
「思わないようにしてるだけじゃないの?」
そんなの、悪意に向き合いたくなくて、逃げてるんじゃない。
「南合さんは……こんな私にも話しかけてくれる、傍にいてくれる。それだけでありがたいことだもん……それだけで。戸惑うこともあるけど、些細なことだから。お父さんが家にいられなくなってしまった時より、私……すごく居心地いい」
あの状況を居心地がいいなんて。
頷けずに、言い返す言葉もなく、私は紅茶を一口飲んだ。
でも、それってこの家庭の、この子の問題。
何も迷っていないならいいじゃない。
そもそも、私は干渉するつもりはなかったし、
私自身そんな余裕は――ない。
「ねえねえ」
「なに」
「江梨香さんは、どうして南合さんのこと避けるようになったの?」
普通の人は、あの女に近づきたいって思わないんだって。
「私は……」
ゆうが私の顔をじっと見ていた。
「大切な友だちを壊されたから……」
携帯を握りしめる。
みしりと音を立てた。
「前も、言ってたよね? 壊すって?」
「聞いたって胸くそ悪いだけよ」
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