過去ログ - 神谷奈緒「芳乃様に叱られるから」
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6:名無しNIPPER[saga]
2016/09/23(金) 15:08:57.20 ID:Ml0TRzBmo
……昨日、あたしと父さんは隣町にある大きな山へキャンプに行った。
なんでまた急にアウトドアなんて行く事になったかというと、それは父さんにしか分からない。
思うに、完全に気まぐれだったんだろう。

あたしは元々そういうの趣味じゃなかったし、初めのうちは行くつもりなんてなかった。
でも父さんがあまりにも張り切ってるのを見たら断れなかった。
父親らしい事をしようと努力して空回りするのはいつものことだった。
とはいえ空回りしがちな性格というとあたしも人の事は言えない。

まあそんな話はいいとして、あたしたちが向かったのは美城山っていうそれなりに立派な山だった。
一応キャンプ場はあったけど全然手入れされてなくて、明らかに使われてない雰囲気がぷんぷんした。
どちらかというと登山向けみたいな……まあ父さんの事だから何も考えてなかったんだろうけど。
そんなわけで、とりあえずバーベキュー的なのをしようという事になった。

で、事件が起きたのはそれからだった。
あたしがテントから離れた小川で水を汲んでいた時、急に誰かに突き飛ばされるみたいに転んだ。
足を滑らせたとかじゃなく、見えない何かにぶつかった感じ。
幸い怪我はなかったけど全身ずぶ濡れになって気分は最悪だった。

そしてふと顔を上げると川縁に小さな女の子が立ってるのが見えた。
最初は恥ずかしい所を見られたと思って焦ったんだけど、なんだか様子がおかしいことに気づいた。
キャンプ場にはあたしと父さんしか居ないはずだし、登山者にしては服装が奇妙だった。
小さい子供だったから、もしかしたら迷子かもしれないと思って声をかけたんだ。

それからあたしはもう一度川の中にすっ転ぶ羽目になった。

その子がいきなり姿を消したから。
スーッって突然、煙みたいに、音もなく。

ビビって尻餅ついちゃったってわけ。


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