3:名無しNIPPER[sage]
2016/09/28(水) 13:48:49.19 ID:8hvf5nw4o
「おい、着いたぞ。降りろ」
揺すりながら声をかける。太ももの感触を味わっている余裕も当然ない。しかし反応が芳しくない。
どうやら汗まみれの背中で寝ているらしい。道中静かだったのは昔からの物静かな性格ゆえではなかった
ようだ。どうしてこんなだらけた性格になってしまったのか。このぐらいならぎりぎり許せても、気分が
のらないからなどというよくわからない理由でレッスンをサボったりするのはやめてほしいと思う。
そのような愚痴はさておいて、揺すれども揺すれども返ってくるのは寝るのを邪魔するなと言わんばかり
の唸り声ばかりなので諦めて部屋まで行く事にした。時折事務所にやってこない雪美を部屋まで迎えに
行くことがあるので誰かに見られても問題はない。人影のない女子寮に入り、雪美の部屋の前に立つ。
鍵は当然かかっていたので、鍵のことだけ考えて雪美のポケットに手を突っ込む。目当ての物はすぐに
見つかった。
電気を点けると足の踏み場もないほど散らかった部屋が迎えてくれた。衣服も散乱している。昔は
あんなに可愛いゴシックのフリルが付いた服を着ていたのに今はシャツにズボンだ。そういう服を着る
のは仕事の時だけになってしまった。出来るだけ物を踏まないようにベッドまで歩き、ようやく雪美を
降ろす。
しかし疲れもあってか、そのまま引っ張られて呆気なく自分もベッドに転がった。両腕を俺の頭の隣に
おいた雪美が俺の上にいる。今度はタヌキ寝入りに騙されてしまった。雪美は優しく微笑む。
「P……疲れてる……大丈夫……私が……癒してあげるから……」
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