過去ログ - 【モバマス】まゆ「ママゆ」
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7: ◆JfOiQcbfj2[saga]
2016/09/28(水) 18:24:20.83 ID:UB/pX29A0
(……誰?)

 突然の緊張に体が強張り固まってしまう。事務所の明かりが消えているとこの通りは電灯だけで妙に薄暗くなってしまうのだ。
 ただでさえアイドル事務所だということが周知されている場所でもあるし、所謂『そうした人間』がこうした機会を狙っている可能性も十分にあった。

「はぁ、はぁっ……」
「ひっ……」

 後ろから聞こえる息を切らしたような呼吸音に思わず悲鳴があがりそうになるのをまゆは何とか抑え込んだ。とにかく恐怖しているのを相手に感じ取られてしまったら駄目だという事は、学校のそうした授業で習っていた。

(さ、最悪このバッグで……)

 厳しいレッスンも乗り越えられる分、体力に自信がないわけではない。
 が、護身となれば話は別である。モデル時代もアイドルになってからも事務所の意向でそうした講習は受けさせられたが、実際にそれを発揮できるかどうかなんていうのは今の足の震えからして難しいものである。

「はぁっ、はぁっ」

 後ろから聞こえる少し高めの呼吸音はまだ聞こえている。

(……あら?)

 だが、その声の妙な高さにまゆは変な違和感を覚えた。
 そして、それに気づいた瞬間、恐怖からの緊張感が別のものに変わっていく。

「は、はぁっ……」

(高い、声?それに少し……)

 レッスンは一人ですることもあれば、グループですることもある。
 それはまゆよりずっと年上の人達とであったり、逆に年端もいかない子達とすることもある。
 そのレッスンが終わって息を切らさない人間を今までまゆは見たことがなかった。だからこそ年齢特有の息切れの感じを知らずのうちになんとなく覚えていたのだ。

(この呼吸の感じは……!)

 慌ててまゆは振り返った。傘についていた水滴が周りに飛び散ったが気にしている余裕はない。

「に、仁奈ちゃん!?」
「あ、ま、まゆおねーさん……」

 いつものうさぎの着ぐるみをぐっしょりと濡らして、立ちすくむ市原仁奈がそこにいた。


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