53:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 20:45:49.78 ID:6BNWGd8K0
こんなに走ったのはいつ以来だろうか。
「はぁはぁはぁ……!!」
走る。走る。ただ走る。
走る足は止まらない。
俺の足が向かう先は、三葉が居る所。
病院だ。
こんな日に限ってタクシーが捕まらず、待っていられないので、駅前から病院まで走ることにした。
病院に着いた。
面会時間はとうに過ぎていたが、事情を伝えると看護師さんはすぐに俺を入れてくれた。
満面の笑顔で。
エレベーターを待つのも焦れったく、階段を二段飛ばしで駆け上がり、恐らく俺の人生史上最高のスピードで俺は病院内を走った。
怒られるのは承知の上だが、どうしてもこの衝動は止められそうになかった。
――目当ての病室が、見えた。
急ブレーキで立ち止まり、呼吸を整え、部屋のドアを開ける。
「三葉……!」
「……瀧君」
そこには病院用のパジャマに身を包んだ三葉――と、もう一人。
そう、もう一人、居る。
「……み、み、三葉。そ、そ、その、その、子が……」
「うん、そうだよ、瀧君」
一息置くと、三葉は俺の目を静かに見つめて、笑みをたたえて、ゆっくりと言った。
「私達の、赤ちゃんだよ」
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