過去ログ - 【艦これ】エラーねこのなく頃に 艦こまし編
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◆KFFL7SRdLI
[saga]
2017/01/13(金) 22:50:12.03 ID:jEIiQrMj0
手元の眼鏡から視線を外して大淀の顔をジッと見つめ、提督は眉根をわずかにひそめた。
「どうやら、またお前に無理をさせてしまっているようだな」
「いえそんな。無理なんて私は――」
「今のお前が何を言っても説得力が足りないな。眼鏡のこともそうだが、なにより顔に疲れの色が出ている。ちゃんと休んでるのか?」
以下略
104
:
◆KFFL7SRdLI
[saga]
2017/01/13(金) 22:54:03.47 ID:jEIiQrMj0
苦笑いする大淀。
対して提督は、拭き終わった眼鏡を天井の明かりにかざし、汚れのチェックをしている。
「それでも提督、私はこの鎮守府の管理運用の補佐に携わる身として――提督のお側に控える者として、職務には全力で当たりたいと思っているんです。特に今は大規模作戦の後処理や大本営の査察の事もありますし、多少の無理は見過ごしていただければ幸いです。もちろん提督や艦隊の皆さんにご迷惑はおかけしません」
「……まあ、そう言うだろうとは思ったよ。本当にそういうところは固いなお前」
以下略
105
:
◆KFFL7SRdLI
[saga]
2017/01/13(金) 22:56:52.91 ID:jEIiQrMj0
溜め息を一つ吐き、かざしていた眼鏡を下ろして、提督は大淀に優しく微笑みかけた。
「だからな、大淀。俺はお前に無理をするなとはあえて言わない。むしろ気の済むままやってよしと言おう。だが、その無理に対する報奨を俺にちゃんと払わせてほしい」
「? 提督、それはどういう――」
以下略
106
:
◆KFFL7SRdLI
[saga]
2017/01/13(金) 22:59:14.27 ID:jEIiQrMj0
父親が幼い娘にするような、あるいは男が恋人にするような――そんな優しい抱擁。
いつも通りの視界に大淀の目が慣れるのと同時に、彼女の周囲が一斉に息を呑んで硬直する。
以下略
107
:
◆KFFL7SRdLI
[saga]
2017/01/13(金) 23:03:08.76 ID:jEIiQrMj0
それはまるで、夜の海の波に紛れて走る酸素魚雷のように、静かにドッスリと大淀に突き刺さっただろう。
『あ"ま"ぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜!?』
以下略
108
:
◆KFFL7SRdLI
[saga]
2017/01/13(金) 23:04:22.71 ID:jEIiQrMj0
この場にいる艦娘全員の視線の先。提督は抱きしめていた大淀をすでに離しており、対する大淀は顔を俯かせている。
そして彼女は、おもむろにその顔を上げて――
以下略
109
:
◆KFFL7SRdLI
[saga]
2017/01/13(金) 23:05:44.14 ID:jEIiQrMj0
『おおおぉぉぉぉぉぉ……!』
前二人の例に漏れず、崩れ落ちるか動揺の極みを晒すかするだろうという大多数の予想に反して、自然体な姿を見せつけた大淀に静かな喝采が上がった。
提督の攻撃のインパクトが大きかった分、それに耐えきった大淀の精神的な頼もしさたるやビッグ7や大和型にも比肩、あるいはそれ以上のものに感じられたのだろう。
以下略
110
:
◆KFFL7SRdLI
[saga]
2017/01/13(金) 23:07:24.04 ID:jEIiQrMj0
何はともあれ、提督の猛襲を抑えられる大淀がいる以上、ここから事態が悪化することはまずないだろう。
そう誰もが心のどこかで思っていた。
が――
以下略
111
:
◆KFFL7SRdLI
[saga]
2017/01/13(金) 23:09:13.41 ID:jEIiQrMj0
「明後日の大本営からの査察についてなのですが――」
「大淀? 査察は明日のはずだが。お前もさっき自分でそう言ったろ?」
以下略
112
:
◆KFFL7SRdLI
[saga]
2017/01/13(金) 23:10:18.44 ID:jEIiQrMj0
三度、大淀が止まる。
今更ながらよくよく見ると、彼女の見ているファイルは上下逆さになっている。
「…………フゥ」
以下略
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