10:名無しNIPPER[saga]
2016/10/06(木) 22:16:04.50 ID:ZjJoYnl/0
「うぅ...ぐすっ...」
歩きつかれて足も痛くなりここからもう出られないのかなと思った私はとうとう泣き出してしまいました。
物を壊してしまったのにそれを隠そうとした罰なのでしょうか。
「お母さん...お父さん...ごめんなさい...」
その時です。
座り込んでいた私の袖を何かが後ろから掴みました。
「な、なに?」
恐る恐る振り向くとそこには一匹のタヌキがいました。
そして袖を掴んでいた手と逆の手を私のほうに差し伸べました。
「え?それくれるの?」
そこには私の神社に植えてある柿があったのです。
うんと首を縦に振ったタヌキを見た私はそれを手に取り皮ごと頬張りました。
しばらく私の泣く音と咀嚼音が静かな森の中にかすかに響きました。
「あ、ありがとね。」
お礼を言った私は少し安心したのでしょうか。
気分を落ち着かせるために今日起きた出来事をタヌキに話しました。
そんなことをしても意味がないのは幼い私にも分かっていたのですが、不思議とそうしていたのです。
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