過去ログ - 【デレマス】彼の戦いはいつ終わりが来るのか【ドライブ】
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5: ◆oZuontUvSM[sage saga]
2016/10/10(月) 00:39:37.38 ID:JySiu3+p0
……拳は振り下ろされなかった。


代わりに3人の耳に入ったのは、騒然とする観客の声。
自分達が何もできないまま、いよいよパニックになったか。
最悪の事態を覚悟して見やったステージ上に、それは確かにあった。


光。


闇に包まれていた舞台上に、紛れもない白き光が照らされている。
スポットライトに似たその光は、まるで拓海達を待つかのように2本に分かたれて放たれていた。
消える気配の全くない、あまりにも鮮烈な光。

不意に、高く掲げたままの拓海の拳に手が触れる。
降ろした先に見えた美世の顔に、もう消沈の色はない。

「やるよ、拓海」
「……ヘッ、そう来なくちゃな。いいよな、プロデューサー?」

何故光が、と疑う気などなかった。
希望を取り戻した2人を前に、プロデューサーはジャケットを着直す。
そしてすぐさま背を向け、目をカッっと見開いた。

「きっかけはもう出来た、たとえあのライティングが途中で切れようと一曲回し切るぞ!
 配置着いたら譜面台にLEDライトをセットするように! 楽器回りとマイクは予備電源で動かす!
 1分後にスタートだ、各員移動開始してくれ!」

バックメンバーに向けた指示を終え、改めて拓海達の見たプロデューサーの顔には、いつもの余裕が戻っていた。

「どういうイレギュラーかすらわからんが、覚悟は決まったよ。
 今のお前達を前に肝心のオレが引いてちゃ、何のためにプロデューサーやってるかわからんからな。
 さすがに本来のステージみたいに火薬とかは使えないが、そんなもんハンデにならないくらい突っ走ってやれ」
「はい! よぅし、アクセル全開で飛ばしてくよ!!」
「 せっかく来てくれた連中だからな、こんな闇ブチ抜くくらい限界突破してやろうぜ!」

一曲限りのステージ。本来を考えればあまりに短縮された時間。
それでも、いやそれだからこそ、2人の全力が詰め込まれる。
たとえ光源のほとんどない中でも、2人の熱が高まっていく。
それはプロデューサーだけでなく、バックステージにいる全員が感じ取れた。

ついに、1分が経った。

「時間だ。行ってこい! 輝きの向こう側まで!」
「よっしゃああ!!いくぜオイ!!」

テンションを限界まで高めた拓海と美世が、ステージへと駆け上がる。
暗闇を打ち破るような歓声と共が2人を出迎えた。
その刹那、アイドルの背中越しに見えた光の源は、黒いボディの車のように見えた。


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