過去ログ - モバP「橘ありすとだらだらだら」
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11:名無しNIPPER[saga]
2016/10/11(火) 21:11:41.71 ID:v8ztA6Oko
◇
昼食を終え、仕方なしに洗濯籠の中身の未洗濯の洗濯物を洗濯機に押し込み動かして、今度は掃除機を掛ける。
知り合いから安く借りているものだが、一軒家だけあって時々この広さを煩わしさを感じることがある。
ごくごくありふれた休日の日常。
……俺の背後をさっきから橘ありすがちょろちょろしていることを除けば。
「それ終わったらどこかに遊びに行きますか?」
「行かんわ」
「一日お家、でもいいですね」
ありすはどこかで聞いたような鼻歌を紡ぎながら大きめの椅子に座って楽しそうに脚をぶらぶらと揺らしている。
なにが嬉しいのやら分かりかねる。
なんともなしに窓のサッシに手を掛け、空を見上げると忌々しいまでの青空がいっぱいに広がっていた。
……ふむ。
「ありすよ」
「……はい?なんですか」
「今日は色街に繰り出してくることにする」
「……は?」
俺は二階の窓から外に飛び出した。
あいきゃんふらい、というか壁面の配管やら窓やらを伝って滑るように降りる、といった感じだったが。
『う、うわきも―――』
庭に降り立つと、家の中から叫び声と騒々しい物音がする。
近くの植え込みの影に隠れ、見ていると玄関からありすが飛び出してきて左右を見渡してから、居るはずもない俺の姿に苦い顔をしてからどこかへ駆け出していった。
俺はそんなありすを優しい目で見送り、普通に玄関から帰宅する。
清々しい気分で淹れたインスタントのコーヒーを口に含む。
……いつもより美味く感じた。
◇
「……あの、さっきの茶番、本当に楽しかったですか?」
「わりと」
一時間後、疲労困憊の状態で机に伏して息を荒らげるありすとは対照的に、俺は結構満足だった。
「そもそも靴がないんだから遠くに行くはずもなかろうに」
「……戯れに二階の窓から飛び降りる人間が常識を語らないでください」
ぐうの音も出なかった。
◇
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