過去ログ - 白菊ほたる「幸せ願う」クラリス「笑顔の偶像」
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11: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2016/10/13(木) 22:40:20.72 ID:mzegZ2Br0
「お話であれば、教会に致しませんか」

クラリスさんの最初の言葉から、激昂しそうになった。

「っ……どうして、ですか」

歯を食いしばって耐える。アイドルのする表情じゃないなんて、わかってた。

クラリスさんの言葉に悪意がないのはわかるし、ぐるぐると渦巻く気持ちだって、私が勝手に抑えきれなくなっているだけのもの。

だけど!それでも私はもう二度と、あの教会で、クラリスさんと話しちゃいけないんだ。

もう、次は……何が起こるかわからないから。

「初めて会った場所で、初めて会った時と同じようにお話したかったものですから」

クラリスさんは何も気にしていないかのようにそう言う。

同じ理由で、反対の結論。その致命的な齟齬が、ただただ嫌で仕方がなかった。

「教会の壁にできてたひび、なにか事故があったんですよね。……クラリスさんはっ!それと私が全く関係ないと、本気で思っているんですか!?」

叩きつけるような疑問は、もはや叫びと変わりないものだった。

それでもクラリスさんは動じない。

頭がくらくらした。

もし平然と肯定が返ってきてしまったら、きっとクラリスさんと向き合っていられなくなる。

私は自分が不幸を呼ぶことを、まるで世界の真実であるかのように感じているのだと、今更のように気づいた。

「考えたことがないと言えば、嘘になります」

「なら、どうしてそんなことを言えるんですか……?教会はっ、クラリスさんにとって大切な場所でしょう!?私が来たら、また不幸になるかもしれないんですよ!」

「それでも」

必死で投げつける言葉は、たったの4文字で引っ込んでしまう。

「私は、あの場所であなたに伝えたい言葉があります。それ以上の理由が、今はどこにもありません」

静かで、緩やかで。なのにどうして、こんなにも力強いんだろう?

……ああ、私は今、怯えて言い訳を続けているだけなんだ。

だから、こんなに簡単に。拒絶したい気持ちを信じきれなくなってる。

私の不幸を認めていながら、そんなことはどうでもいいのだと真っ直ぐに言われた心地がして。

簡単に揺らいでしまった。

クラリスさんが伝えたいという言葉を、聞かせて欲しいと思ってしまった。

「……どうか私に、信じさせて、ください」

たぶん私は、神様に祈ってはいけないのだと思う。

だけど、目の前にいるシスターさんに願うことくらいは、許してください。



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