過去ログ - 白菊ほたる「幸せ願う」クラリス「笑顔の偶像」
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7: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2016/10/13(木) 22:32:15.89 ID:mzegZ2Br0
「皆様、紅茶をご用意いたしましたので是非お召し上がりください。お砂糖などはお好みで調節していただければ、と」

「え…………クラリス、さん……?」

「えっ……?」

おや、まあ……。

これは、どういったお導きでしょうか。

「ん……知り合いでしたか、クラリス?」

「ええ。……私がここに来る前に、一度だけお会いしたことが。お久しぶりです、白菊ほたるさん」

「あ…………」

プロデューサー様は、私にとってのアイドルの象徴と言える女の子をスカウトしていたようでした。

しかし、彼女の様子は、異様の一言に尽きたのです。

目を見開き、唇を震わせ、その視線の先には……私が。

それが何かよくない感情を示すものであることは、簡単に伝わってきます。

困惑。それを隠して誤魔化すように、私は紅茶を皆様に配ろうとしました。しかし。

「どうぞ、ほたるさんの分も……」

「すいません、少しだけお手洗いにっ……!」

ほたるさんは言葉とともに部屋を出て行ってしまいます。まるで、私を避けるようにして。

咄嗟に手を伸ばして、しかし彼女に届かせるよりも、迷いの方が先行して。

中途半端に伸ばそうとした腕をただ見つめるだけに終わってしまいました。

「……私も、少し席を外しますね」

私は今、この場にいない方がよいのでしょう。

どうしてほたるさんがあのような反応を返したのか、ほとんどわからないままでしたが、それだけはすぐに判断できました。

自分の紅茶にミルクを注ぎ入れ、はちみつをスプーン一杯。

それをかき混ぜれば鮮やかな赤は優しい亜麻色に、濃く入れたので少し苦みと渋みの強い味は口当たりが良く飲みやすいものに変わっていきます。

カップを持って席を離れようとしたとき、ほたるさんの紅茶はその水面が赤いままであることが、ひどく心を乱しました。



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