7:名無しNIPPER
2016/10/16(日) 02:05:12.88 ID:979EFiWNO
「キシくんは、こんな時間に何をやってるの?」
ホットココアを飲みながらスダさんは問う。
ぼくもホットココアにするべきだったな。
「あれ」
ぼくは目の前に輝く月を何気なく指差して言う。
「あぁ。なるほど。綺麗だね」
納得がいったからか、少し微笑んでそう言う彼女の表情は街灯のせいか、月明かりのせいか、なんだかやけに明るく見えた。
「夏目漱石かな」
「月が綺麗ですね、とは言ってないよ」
「それは残念」
スダさんは少しばかり間を置いて、ココアを飲んでから続ける。
「わたしは月の綺麗さよりも、もっと身近なものを共有できたらそっちの方が楽しくていいな」
「身近なもの?」
ぼくがそう問うと、彼女は微笑んだだけで何も答えやしなかった。
「そうだ。わたしのココア、飲む?」
「遠慮しておくよ。コーヒー、飲むかい?」
「うーん。ブラック、飲めないんだよなぁ」
奇遇だね。ぼくもだよ。
言えやしないけどね。
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