8:名無しNIPPER
2016/10/16(日) 02:12:42.09 ID:979EFiWNO
「夏が終わるんだねぇ」
ふとスダさんがそんな一言を漏らした。
「もう終わったんじゃない?」
テレビの前とは違う寂しさを抱きながらそんな返答を返す。
ぼくらはきっと、悲しみや寂しさみたいな、そんなものから逃げられやしないんだろうな。
隣に誰かがいたって、感じてしまうんだから。
「なんていうか、早いね。月日の流れって」
「そうだね。こうやってスダさんと話してる時間もきっと一瞬だよ」
「話してるから、一瞬になっちゃうんじゃないかな」
「どういうこと?」
「わたしたちが流れて欲しくないなーって思ったり、昔に戻りたいなーって思えば思うほど時間の流れってずっとずっと、はやくなっていくんだよ」
「なにそれ。あまのじゃくだね」
ぼくは、少し笑いながら返す。なんだかへんてこな価値観だったから。
でも、不思議とどこかわかるような気がして。
「世界はいじわるだよ。わたしたちが思ってるよりずっとずっと」
そんな言葉を放つ彼女の表情は極上の月明かりに照らされていても、不思議な暗さを感じたんだ。
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